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「孕んだのと、発症した時期が同じだったのが不幸だったのだろう。これは子が生まれるまで持つか判らぬ。子を下ろしても、産み月が近いとくれば奥方が助かる保証はできぬし、腹を切って取り出せば子は助かっても奥方は助からぬ。誰に診せても手の施しようは無いと言うだろうよ。これは他人に移る病だ、郭軍祭酒殿も若殿も気をつけなされ。使用人にもそのように伝えるのだ」

 妻の顔色は、日増しに明るくなっているように見えた。

私の不在中、奕が1刻以上部屋にいると病が移るからいけない、と追い出していたらしいが、不思議なほどに何も言わず、ただ笑顔を浮かべていた。

美帆を動かすことは難しかったので、元の居室にあった物を順次移動させた。

その中にあった模擬戦盤と盤に奕が興味を抱いたようだった。

共に持ち込んだ六博りくはくは、以前遊びたいと言ったので一通り教え、今でも使用人を相手に遊んでいる。

「なつかしい。父と、母が、奕ちゃんの生まれる前…いつも、やっていたのよ」
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