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杏②

 だいぶお腹が大きくなって来られてもお嬢さまのご容態は良くなるどころか、日増しに弱っていったのです。

朝はわたし達下女の手を借りて、やっと起きるようになりました。

普段と比べると、召し上がるお食事も格段に減りました。

「お嬢さま、今は大切なお身体でございますから、どうかお二人分召し上がってください」

 わたしが無理矢理お口に入れても、すぐにお戻しになってしまわれるのです。

満足に食事が取れなくて歯痒い思いをしたのは、お嬢さま自身ではないでしょうか。

時折、血が混ざった痰を吐くこともありました。
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