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露わけ衣

 たった2人の姉妹である。

間に兄がいるが、それでも3人姉弟というのは、当時としては少ないほうだ。

亡くなった夫の父は2度結婚し、先妻との間に夫を含め2男1女、後妻の姑との間に3人の男児を儲けた。

周りには、妻1人との間に子どもを7、8人儲けた人もいた。

「叔母さま、赤ちゃんをお産みになるの?」

「いつ? 今?」

「そうね、今すぐにでもお顔を拝見したいけれど、それは困ってしまうから、我慢しているのよ。次のお正月が過ぎたらすぐ産まれるわよ」

「どうして今見たら困るの?」

 幼い甥や姪とも結婚以来会っていなかったので、その成長の速さと同時に、物事を鋭く突いてくる頭脳にも驚かされた。

上と下の年齢差が2歳半で、母親が身ごもっていた頃の記憶が無いので、なおさら質問攻めに遭う。

「叔母さまのお腹の中でまだ大きくならなければならないの。早く出てきてしまったら、叔母さまも難しいことはよく解らないけれど、大きくなるのがとても大変なんですって。だから、赤ちゃんはみんな十月十日の間お母さまのお腹の中で安心して大きくおなりになるのよ」

「どうしてお母さまのお腹の中だと安心できるの?」

「そ、それはねえ…」
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