このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

露わけ衣

「…そんなわけで、最近のうちの人といったら、もうお名前を考えていらっしゃるのですわ」

 それから1週間も経たない大正12年9月1日は、湿度が高く暑苦しい日だった。

午前中に往診があるので、義弟と入れ違いで訪ねてきた実母が侍女と共に付き添うことになった。

侍女は昨日8月31日に満33歳の誕生日を迎えた。

大正6年の春に京都二女の補習科を卒業し、彼女に仕えて6年になる。
15/16ページ
スキ