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露わけ衣

 8月下旬のある日、既に独立した夫のすぐ下の弟を連れ立って、近所の海岸に散歩に出かけた。

「本当に懐かしいなあ。子どもの頃はよくここで泳いだんですよ」

「まあ、そうですか。泳ぐのって気持ちが良さそうですよね」

「姉上さまは、泳ぎは?」

「実は、海に入ったことも無くて」

「それはいけませんね」

 実家にいた頃は夏になると海に近い須磨別邸に滞在したが、女の子は海に入るものではない、という母の戒めに従って海水浴はしなかった。

ところが婚家では、夏に男女問わず海水浴に行ったことがあるらしい。

「男の子がいたら兄が泳ぎを教えるでしょうから、一緒に習ってはどうですか?」

「それは楽しそうですわ」
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