このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

婉貞

 旦那さまと美帆さまは、よく学問の話をされていました。

そのため夫婦というより学問所の仲間のように見えることもあり、3年経ってもお子に恵まれないのが気がかりでありました。

「婉貞、そのことについてはなるようにしかならないのだから、お前が気に病むことではないよ」

「そうよ、子は天からの授かり物なのよ」

 お二人はあまり気に留めていらっしゃらないご様子でしたが、それでも街の噂に上りました。

仲が良すぎるのも問題だの、鬼嫁からは鬼の子しか生まれないから奉孝が生ませていないだの、あることないこと口にする人もいました。

お二人が街にお出になるとき、慎ましい服装で美帆さまなど西域の少年風の出で立ちでしたので、誰も気づかなかったのです。
3/4ページ
スキ