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婉貞

 婚礼は翌年の春の終わりのことで、美帆さまは赤い髪に青い瞳の鬼のような顔立ちではありましたが、気立てがよい方で、お仕え申し上げるうちにかわいらしい方だと分かりました。

侍女の杏は要領のいい働き者で、娘か孫のように思えます。

 美帆さまは私どもの仕事が一段落しますと、読み書きを教えてくださいました。

襄陽にいるうちから習っていたという杏に比べ、私は年を取っていて物覚えが悪いのに、美帆さまは嫌な顔をされませんでした。

私の父は私と妹が子どもの頃に女には学問はいらないと申しておりましたが、旦那さまは黙認されていて、女も賢いほうがよいと仰っていました。
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