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杏①

 ここでわたしのことを少し話します。姓はてい、名は杏といい、南陽なんようの百姓の3人姉弟の長女として光和5年に生まれ、現在26歳であります。

父はわたしが7つの頃に亡くなり、病弱な母と弟妹を食べさせるために地元の大豪族・ほう家に上がったのは18年前のことで、それ以来お嬢さま付の侍女としてお側にお仕え申し上げておりました。

お嬢さまの名は美帆みほと仰有り、我が主人・龐尚長しょうちょうさまの妹君であらせられましたが、血の繋がりは無く、元は西域の商人の娘だったと聞いています。
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