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マリちゃんと福井さん

 一方その頃、横浜の実家に同窓会の案内が届いたらしい。

古川真理恵様、と宛てられたそれの差出人は高校の同級生だった。

受け取った従兄は、すぐに返信することができなかったらしい。

「マリーが亡くなってもうすぐ4年になるが、同窓会に死亡通知を送ったら、本当にあいつがこの世からいなくなった気がして…」

 マリちゃんの34年間を全て知るのは、この従兄くらいだ。

僕の中の彼女と、彼の中の彼女は違うだろう。

従兄は彼女の忘れ形見を可愛がってくれているが、どこかでマリちゃんを求めているような節がある。

「僕は、少なくとも僕らがいるうちは、マリちゃんもどこかにいると信じているんですよ」

 人は2度死ぬ、というではありませんか──僕の言葉に、従兄はふっと笑った。

「エッちゃんもいるからなあ」

「そうですよ。マリちゃんがいたから、エミがいるんですよ」

「それで、遠くない将来、エッちゃんもいい人を見つけて、生命を繋げてゆくのか」

「…マサさんの嫁にはやりませんよ」

「貰わねーよ。40も離れたジジイじゃ、可哀想にも程がある」

 どこまでも我が道を進む娘。

父親も従伯父も遊び相手としては眼中にないようで、保育園では人並みに友達を作っているようだが、家ではとことん1人遊びを好み、父は追い出されてしまう。

「ねえ、パパ、ママがいっぱいいるよ!」

 実家の居間に上がると、エミが突然言い出した。

マリちゃんは実家から車で15分ほどの墓地で祖父母、伯父夫妻、母と共に眠っている。

自宅からは距離があるため、墓参りは月に1度行けたらいいほうだ。

彼女の視線の先の、掛けられた写真の中でマリちゃんが笑っていた。

僕が知っている彼女もいれば、エミとそう変わらない年齢の頃のものもあった。
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