執事の手記
ふたりでミンミン
2023/07/24 12:00季節は夏の盛り
お嬢様は相も変わらず学業にお勤めにと忙しい。
今日は仕事の区切りに街へ出て、
少し自然のある方へ足を伸ばしてみた。
ベンチに座り目を閉じる。風を感じながらお嬢様を想う。
唐突に蝉の鳴き声が耳に飛び込んできて、
反射的にオレは目を開けた。
お嬢様に蝉の鳴き声のBGMはそぐわない。
木々に目をやり考えてみた。
彼らは何と言っているのだろう。
「愛してる」「すきだ」「お嫁さん募集中」
いずれにしても求愛の音を発しているのに違いない。
冷えたコーヒーで涼を取りながら邸に戻った。
夕食後、お嬢様から添い寝を命じられ(オレとしては毎晩でも添い寝したい)ベッドで一緒に横になった。
疲れていたのか、お嬢様は早々に寝息を立てた。
せめてキスだけでもと思い半身を起こすと、お嬢様はオレに背を向けて横向きになってしまった。
仕方なく元の位置に戻り背中を見つめた。日々がんばられている背中を、癒すように後ろからそっと抱きしめる。
ふんわりと花の香りがする。
お嬢様の匂いを感じたまま、ふと昼間の蝉を思い出した。
抱きしめながらミーンミンミンと、小声で蝉の鳴き真似をしてみた。愛してると想いを込めて。
すると、小刻みな振動が伝わってきた。
眠りについていたはずのお嬢様が肩をふるわせ笑っていた。
一体なんなのかと訊かれ蝉の求愛の話をすると、お嬢様がオレの方に向き直りミーンミンミンと言って抱きついてきた。
その鳴き真似があまりに愛らしすぎて、
全身の血が沸騰しかけた。
オレの胸元で鳴いている可愛い蝉のお嬢様。
たまらなくなり結局、眠そうな様子に構わずキスしてしまった。
やさしいお嬢様は笑いながらオレの長いキスに応えてくれた。
愛してると言葉に出さず
蝉の鳴き真似だけで気持ちを確かめ合えた夜。
蝉になったお嬢様が可愛すぎたので、
また後ろからミンミンしてみようと思う。
お嬢様は相も変わらず学業にお勤めにと忙しい。
今日は仕事の区切りに街へ出て、
少し自然のある方へ足を伸ばしてみた。
ベンチに座り目を閉じる。風を感じながらお嬢様を想う。
唐突に蝉の鳴き声が耳に飛び込んできて、
反射的にオレは目を開けた。
お嬢様に蝉の鳴き声のBGMはそぐわない。
木々に目をやり考えてみた。
彼らは何と言っているのだろう。
「愛してる」「すきだ」「お嫁さん募集中」
いずれにしても求愛の音を発しているのに違いない。
冷えたコーヒーで涼を取りながら邸に戻った。
夕食後、お嬢様から添い寝を命じられ(オレとしては毎晩でも添い寝したい)ベッドで一緒に横になった。
疲れていたのか、お嬢様は早々に寝息を立てた。
せめてキスだけでもと思い半身を起こすと、お嬢様はオレに背を向けて横向きになってしまった。
仕方なく元の位置に戻り背中を見つめた。日々がんばられている背中を、癒すように後ろからそっと抱きしめる。
ふんわりと花の香りがする。
お嬢様の匂いを感じたまま、ふと昼間の蝉を思い出した。
抱きしめながらミーンミンミンと、小声で蝉の鳴き真似をしてみた。愛してると想いを込めて。
すると、小刻みな振動が伝わってきた。
眠りについていたはずのお嬢様が肩をふるわせ笑っていた。
一体なんなのかと訊かれ蝉の求愛の話をすると、お嬢様がオレの方に向き直りミーンミンミンと言って抱きついてきた。
その鳴き真似があまりに愛らしすぎて、
全身の血が沸騰しかけた。
オレの胸元で鳴いている可愛い蝉のお嬢様。
たまらなくなり結局、眠そうな様子に構わずキスしてしまった。
やさしいお嬢様は笑いながらオレの長いキスに応えてくれた。
愛してると言葉に出さず
蝉の鳴き真似だけで気持ちを確かめ合えた夜。
蝉になったお嬢様が可愛すぎたので、
また後ろからミンミンしてみようと思う。