彼女に手錠をかけた夜
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慈しむようにやさしく口づけ、ついばむ。
「ン……」
お嬢様が目を閉じる。それを待ってから舌を歯列の間に割り込ませた。可愛らしい舌が素直に迎えいれてくれる。
柔らかく温かい感触と幸福感に浸りながら、横目で自分がつけたブレスレットを見た。
束縛の象徴。独占の証。なんでもかまわない。
自分の想いを、お嬢様が身に着けてくれている。
肌身離さず大切にするといってくれた。
川島はみぞおちのあたりから、なにか熱いものが湧き上がってくるのを感じた。
禍々 しいようでいて甘く、切ない痛みをジクジクと訴えてくる。
指先で細く無機質な鎖の感触を確かめる。
突然、お嬢様を縛りつけているという加虐的な興奮に襲われた。
「……お嬢様!愛してる……オレの、……オレだけのお嬢様ッ……」
舌をさらいながら激しく口づける。
「ッは……くるし、川島……」
お嬢様が川島のガウンの襟をつかみ、空気を求め喘ぎながらそれに応えていた。
長いキスに夢中になっていると、突然パチン!と大きく薪の弾ける音がした。
お嬢様が目を開け暖炉に顔を向けようとする。
川島は顎に手をかけ強引に自分の方へと引き寄せた。
「ほら……よそ見しないで、お嬢様」
「ンん……っ!」
もう一度深く口づけし直す。
静かに弾ける木の乾いた音と、絡み合う舌の水音がコントラストをもって部屋に響いた。
川島は何度も角度を変えては、自分の想いを教えこむように舌を添わせ動かした。
「川島……んぅ……は、……ん」
さらに甘さが増し、いつまでもやまない舌の愛撫に、お嬢様が降参といった様子で唇を離した。
困ったように息を整えている。
「っ、もうこれ以上は……。わたし、そろそろお風呂に入りたいんだけど」
お嬢様を困らせても、まだキスしたりないと川島は思った。
名残惜しいように掴んでいた手首を解放し、そっとさする。
「そうでしたね。すみません、勝手なことばかりしてしまって。お嬢様、よろしければ今度はわたしがお背中をお流ししましょうか?」
「えっ。いい、いらない!」
「なぜですか。そんなに拒絶されるとますます――」
「わかった。それなら、もう一緒に入っちゃおうよ」
お嬢様が川島の腕を組み早口でいった。
想定外の誘いに川島の顔は熱くなった。まさか一緒に入ろうといわれるなんて。
さっき風呂の中でお嬢様にいいかけ、飲み込んだ言葉をかけてくれるなんて。
「なんで川島が赤くなるの」
「すみません……」
じゃれ合いながら、ふたりでバスルームへと向かう。
「川島はさっき入ったから、身体は洗わなくていいよね。先にお湯だけ浸かっててね」
胸元のボタンに白い手がかかる。
「お嬢様、自分で脱げますから……」
川島は遠慮しながら、その手首に光る細い鎖をもう一度見つめた。
オレで縛りたい。
お嬢様の心を、身体を、すべてを。
オレはこの先も贈りつづけるだろう。彼女を縛りつけるための、なにかを。
素直に喜び受け取ってくれる姿に罪悪感を覚えながら、それでも……。
隠された想いが込められていることも知らず、軽やかに笑うお嬢様に川島は心の中で許しを乞うた。
そしてただひとり、目の前の女性だけを全身全霊で愛し抜くことを誓った。
今まで以上に強く、固く。
今度は川島の方が、お嬢様を脱がせようとバスローブに手をかけた。慌てた様子で恥ずかしがるお嬢様。
逃げるふりをしながら腕を組み、早く先に入るよう指示を出してくる。川島はその姿を可愛らしく思いながら、いつもの調子でからかった。
広い邸の一角で、ふたりの楽し気にじゃれ合う声が響く。
それはしばらくのあいだ絶えまなく続き、邸の中にやさしい灯をともしていた。
「ン……」
お嬢様が目を閉じる。それを待ってから舌を歯列の間に割り込ませた。可愛らしい舌が素直に迎えいれてくれる。
柔らかく温かい感触と幸福感に浸りながら、横目で自分がつけたブレスレットを見た。
束縛の象徴。独占の証。なんでもかまわない。
自分の想いを、お嬢様が身に着けてくれている。
肌身離さず大切にするといってくれた。
川島はみぞおちのあたりから、なにか熱いものが湧き上がってくるのを感じた。
指先で細く無機質な鎖の感触を確かめる。
突然、お嬢様を縛りつけているという加虐的な興奮に襲われた。
「……お嬢様!愛してる……オレの、……オレだけのお嬢様ッ……」
舌をさらいながら激しく口づける。
「ッは……くるし、川島……」
お嬢様が川島のガウンの襟をつかみ、空気を求め喘ぎながらそれに応えていた。
長いキスに夢中になっていると、突然パチン!と大きく薪の弾ける音がした。
お嬢様が目を開け暖炉に顔を向けようとする。
川島は顎に手をかけ強引に自分の方へと引き寄せた。
「ほら……よそ見しないで、お嬢様」
「ンん……っ!」
もう一度深く口づけし直す。
静かに弾ける木の乾いた音と、絡み合う舌の水音がコントラストをもって部屋に響いた。
川島は何度も角度を変えては、自分の想いを教えこむように舌を添わせ動かした。
「川島……んぅ……は、……ん」
さらに甘さが増し、いつまでもやまない舌の愛撫に、お嬢様が降参といった様子で唇を離した。
困ったように息を整えている。
「っ、もうこれ以上は……。わたし、そろそろお風呂に入りたいんだけど」
お嬢様を困らせても、まだキスしたりないと川島は思った。
名残惜しいように掴んでいた手首を解放し、そっとさする。
「そうでしたね。すみません、勝手なことばかりしてしまって。お嬢様、よろしければ今度はわたしがお背中をお流ししましょうか?」
「えっ。いい、いらない!」
「なぜですか。そんなに拒絶されるとますます――」
「わかった。それなら、もう一緒に入っちゃおうよ」
お嬢様が川島の腕を組み早口でいった。
想定外の誘いに川島の顔は熱くなった。まさか一緒に入ろうといわれるなんて。
さっき風呂の中でお嬢様にいいかけ、飲み込んだ言葉をかけてくれるなんて。
「なんで川島が赤くなるの」
「すみません……」
じゃれ合いながら、ふたりでバスルームへと向かう。
「川島はさっき入ったから、身体は洗わなくていいよね。先にお湯だけ浸かっててね」
胸元のボタンに白い手がかかる。
「お嬢様、自分で脱げますから……」
川島は遠慮しながら、その手首に光る細い鎖をもう一度見つめた。
オレで縛りたい。
お嬢様の心を、身体を、すべてを。
オレはこの先も贈りつづけるだろう。彼女を縛りつけるための、なにかを。
素直に喜び受け取ってくれる姿に罪悪感を覚えながら、それでも……。
隠された想いが込められていることも知らず、軽やかに笑うお嬢様に川島は心の中で許しを乞うた。
そしてただひとり、目の前の女性だけを全身全霊で愛し抜くことを誓った。
今まで以上に強く、固く。
今度は川島の方が、お嬢様を脱がせようとバスローブに手をかけた。慌てた様子で恥ずかしがるお嬢様。
逃げるふりをしながら腕を組み、早く先に入るよう指示を出してくる。川島はその姿を可愛らしく思いながら、いつもの調子でからかった。
広い邸の一角で、ふたりの楽し気にじゃれ合う声が響く。
それはしばらくのあいだ絶えまなく続き、邸の中にやさしい灯をともしていた。
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