青い鳥は鷹から逃れ海原に羽ばたく
僕こと羽鳥彼方は所謂引きこもりである。
勿論最初から引きこもりだったわけじゃなくて……どういうことか僕は人に嫌われやすい。
空気が読めないのか何か気に障ることを言ってしまったのか分からない。確かに少し人より目立つ要素があるけれど、それが直接関係しているとは思えない。
仲良くなれたかと思うとその次の日ぐらいには睨まれたり避けられたりされてしまって、理由を聞いても自分の胸に聞けとしか言われなくて。
「俺がそばにいるからさ、そんな気に病むなよ」
悩む僕に小学校以来の親友であるタカは悩む僕にいつもそう言って励ましてくれたけれど……それでも理由も分からずに嫌われ続けて転校してきた小学校からのことのはなしで現在高校2年となった今でも繰り返しで、疲れてしまった。
高校生になったら今までの自分を知らない人のほうが多いしタカもいるからきっと大丈夫だと言い聞かせて希望と期待に胸を膨らませていたのに、結果はやっぱり変わらなくて。
ついに心が折れてしまった。
1年生の後半から徐々に学校に行かない日が増えていって、2年に上がってからは初日だけしか行かずに家に引きこもる日が続いている。もう夏休みも終わって9月に入っても僕は学校には行っていない。
タカが先生から預かっている課題をもらって教えてもらっていてタカ越しにではあるが一応提出は出来ているおかげで一応出席扱いしてくれている。
ただ、テストは受けていない。……きっとこのまま自主退学になってしまうと思う。
このままではいけないのは分かってる、僕の様子をほぼ毎日のように見に来てくれるタカや言いたいことは色々あるだろうにそれでもいつも通りに振る舞ってくれる母さんや父さんにも申し訳ない、行くべきだろうと頭で分かってる。
それでもあの冷たい目で見られるのがどうしても怖くて、思い出すだけで身体が震えて結局身体は動かないままだった。
家で課題をやる以外はゲームをして、気分が良ければゲーセン、自発的に外に出ようと思うのはこうして新作のゲームを買うときぐらいだ。
「……はぁ……」
新しいゲームが出来るのは嬉しい、長く続いているタイトルで体験版をやってみたら凄い面白かったし発売日を待ちわびていたものなのだからそれがもうすぐ出来るのは楽しみで仕方ない胸が弾む、と同時に自分の心がどこかで罪悪感と空虚感があってそれを自覚してついため息を吐いてしまった。
……何十年も引き篭もっている人を更生させる、という番組を見ていると他人事とは思えなくて。僕もこのまま行けばきっとあの人達と同じようになってしまう、きっとこの罪悪感もそのうち無くなってしまうんだろうと想像に難くなくて、憂鬱な気分に襲われた。
肩を落として美容院にも行かず、故意で片目を隠すようにして前髪を伸ばしてというのも相まって随分長くなってしまった髪がバサバサとかかって鬱陶しかった。
このまま本当に何十年、僕は家から出ず親の脛齧って、両親もいなくなって唯一支えてくれるタカも僕から離れて、最期はきっと誰にも発見されず孤独に死ぬんだろうな。
この日、何事もなくゲーム屋から出て家に帰ってこの葛藤を忘れようと嫌なことから見なきゃいけないことから全部逃げようとゲームに集中していたら本当にそうなっていたかもしれないと思う。
否もしかしたらそっちのほうがましだと考えれる事態もあったのかもしれない。『もしも』なんてこの世界にないのだから確認するすべなどない。
「ねえねえ、スマホ落ちたよ」
でも万が一、そう声をかけてきてくれた君がいなかったら。
僕は一体どうなっていたんだろうか。
生きているという実感が無いまま、空虚な日々を過ごしていたんだろうか。
勿論最初から引きこもりだったわけじゃなくて……どういうことか僕は人に嫌われやすい。
空気が読めないのか何か気に障ることを言ってしまったのか分からない。確かに少し人より目立つ要素があるけれど、それが直接関係しているとは思えない。
仲良くなれたかと思うとその次の日ぐらいには睨まれたり避けられたりされてしまって、理由を聞いても自分の胸に聞けとしか言われなくて。
「俺がそばにいるからさ、そんな気に病むなよ」
悩む僕に小学校以来の親友であるタカは悩む僕にいつもそう言って励ましてくれたけれど……それでも理由も分からずに嫌われ続けて転校してきた小学校からのことのはなしで現在高校2年となった今でも繰り返しで、疲れてしまった。
高校生になったら今までの自分を知らない人のほうが多いしタカもいるからきっと大丈夫だと言い聞かせて希望と期待に胸を膨らませていたのに、結果はやっぱり変わらなくて。
ついに心が折れてしまった。
1年生の後半から徐々に学校に行かない日が増えていって、2年に上がってからは初日だけしか行かずに家に引きこもる日が続いている。もう夏休みも終わって9月に入っても僕は学校には行っていない。
タカが先生から預かっている課題をもらって教えてもらっていてタカ越しにではあるが一応提出は出来ているおかげで一応出席扱いしてくれている。
ただ、テストは受けていない。……きっとこのまま自主退学になってしまうと思う。
このままではいけないのは分かってる、僕の様子をほぼ毎日のように見に来てくれるタカや言いたいことは色々あるだろうにそれでもいつも通りに振る舞ってくれる母さんや父さんにも申し訳ない、行くべきだろうと頭で分かってる。
それでもあの冷たい目で見られるのがどうしても怖くて、思い出すだけで身体が震えて結局身体は動かないままだった。
家で課題をやる以外はゲームをして、気分が良ければゲーセン、自発的に外に出ようと思うのはこうして新作のゲームを買うときぐらいだ。
「……はぁ……」
新しいゲームが出来るのは嬉しい、長く続いているタイトルで体験版をやってみたら凄い面白かったし発売日を待ちわびていたものなのだからそれがもうすぐ出来るのは楽しみで仕方ない胸が弾む、と同時に自分の心がどこかで罪悪感と空虚感があってそれを自覚してついため息を吐いてしまった。
……何十年も引き篭もっている人を更生させる、という番組を見ていると他人事とは思えなくて。僕もこのまま行けばきっとあの人達と同じようになってしまう、きっとこの罪悪感もそのうち無くなってしまうんだろうと想像に難くなくて、憂鬱な気分に襲われた。
肩を落として美容院にも行かず、故意で片目を隠すようにして前髪を伸ばしてというのも相まって随分長くなってしまった髪がバサバサとかかって鬱陶しかった。
このまま本当に何十年、僕は家から出ず親の脛齧って、両親もいなくなって唯一支えてくれるタカも僕から離れて、最期はきっと誰にも発見されず孤独に死ぬんだろうな。
この日、何事もなくゲーム屋から出て家に帰ってこの葛藤を忘れようと嫌なことから見なきゃいけないことから全部逃げようとゲームに集中していたら本当にそうなっていたかもしれないと思う。
否もしかしたらそっちのほうがましだと考えれる事態もあったのかもしれない。『もしも』なんてこの世界にないのだから確認するすべなどない。
「ねえねえ、スマホ落ちたよ」
でも万が一、そう声をかけてきてくれた君がいなかったら。
僕は一体どうなっていたんだろうか。
生きているという実感が無いまま、空虚な日々を過ごしていたんだろうか。
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