うみをえがく。

「ウミナカメグル」
「……ついに頭が沸いたの?お兄ちゃん。というか勝手に部屋に入らないで」

 着替えを終えて鏡を見ながらおさげを作っているとノックもされずに突然部屋のドアが開かれて何かと思えばにたりと笑った兄が、突然変なことを言ったから何かとじとりと見上げながら指摘する。着替え中だったらどうしてくれる。いくら兄妹といえど身体を見られるのは嫌。そんな私を無視して首を傾げられる。
「あれ?海の中を巡るで、ウミナカメグルって読まないのかい?」
「……どういう意味?」
 何故この兄は海中の漢字を知っているのか。読み方が違うけれど、お兄ちゃんに海中の名前を知られたくないのでそれはスルーして、何を言っているのか理解できませんと言わんばかりの態度をとると、まだしらばっくれるのかい、と安っぽい海外ドラマみたいに手を上げる。こちらを小馬鹿にしているのがひしひしと伝わってくる、不快感があるものの無言を貫く。
 兄はこちらに近づいてくる。暑いからあまり近寄ってほしくないけれど、何か不穏なものを感じて隙を見せないように警戒する。薄い唇が歪む。

「階段にさルーズリーフが落ちていたんだよ」
「……」
「誰の落とし物かな、と思ってさ見てみたら……お前の字で僕らの名前と……美絵にしては随分と角ばった文字でウミナカメグルと書かれていたんだよ」

 海中と同じ一人称のくせして全く印象が異なる。温和な雰囲気や、おっとりしているのはよく似てるのに。あ、兄に至っては対私以外の話だけど。ああ、でも海中は割とずけずけ言ってくれたけれど、決して私を傷つけることを故意に言ったりはしなかったな。

「この名前の子が。最近仲良くなって、育恵が見かけたっていう男の子?」
「そうよ」
 これ以上知らんぷりはできないと察して潔く認めた。すると、上がっていた口が真っすぐになったのがスローモーションに見えた。

「ふざけるなよ」
「っ」

 低い声とともに左のおさげを引っ張られて顔を間近に迫られる。暗くて濁った目が私を映した。まさか兄が乱暴なことをするなんて。そういうのはお姉ちゃんだったから怖いというよりは意外で驚きが勝った。

「お前も、この家で生きていくんだよ。父に与えられた通りに生きるんだ。男と逃げるなんて許さない。特にお前は、だ。絶対に許さない。僕から離れるなんて、許されない、許されないんだ!」
「……」

 荒い息が顔の皮膚に当たる。瞳は底なし沼のようなのに妙にギラギラしていて白目は血走っていて、顔が赤くなって、それを目の前で見てしまった私が最初に思ったのは。(きもちわるい)だった。
 昔近所で飼われていた大きな犬が私に興奮したように駆け寄ろうとしたのを飼い主がリードを引っ張ってそれを阻止していたのを思い出した。その犬の荒い呼吸と、私を見る目は無垢でありながらギラギラしていたのを思い出す。今思えば発情していたのだろう。去勢されていたとしても生殖本能が強い子は発情するらしいし。そのときを思い出した。
 そんな発情の目を実の兄から向けられるのは、うん、正直気持ち悪い。お兄ちゃんって運動しないせいか頭を使うことでお菓子を食べる頻度が高いからか小太りだし、勉強しかしてこなかったからかなあ。だからといって実の妹をそんな目で見るのかな。お父さんのなかの常識がそこまで歪んでいなければいいな。じゃないと最悪……想像しただけで、寒気がする。暑いのになあ。

「……ルーズリーフ、返して」
「は?」
「あれ、私のお守りなの。だから、はやく」

 いくら嫌いとはいえ、そんな家族の姿を見たくなんてなかった。とりあえずさっさとこの会話を終わらせようと兄の暴走の理由であるルーズリーフを返してもらうよう催促すると、予想外の私の反応に面食らっていたようだったけれど、わずかに私の身体が震えていることに気が付いて笑った。

「あんなゴミ、捨てちゃったよ」
「……すて、た?」

 さっき乱暴してきたおさげをするするとぶよぶよの手櫛で梳いてくる。不快感も忘れて目を見開いた私に兄は微笑みかけてくる。今まで私に向けてきた何よりも優しくて、今まで見た中で一番悍ましいものだった。


「うん。台所の生ゴミと一緒に。もうお母さんが捨てちゃったよ」


 それを聞いて、私の頭が真っ白になった。ううん。正直言うと、一瞬、記憶が飛んだ。



「ひぃっ!」

 気づけば、さっきまで発情期を迎えたような顔をしていた男が私の下にいて、怯えた悲鳴をあげていた。それを聞いて飛んでいた意識が戻ってきてくれて、冷静にこの状況を疑問に思った。
 どうして立場としても年齢としても性別としても体格としても優位に立っているはずの兄が縮こまり、恐ろしいものを見るように涙目になって私を見上げているのだろう。その答えは、今のこの現状だった。
 肉付きのいい身体に馬乗りになって、顎を掴んで固定して、絵を描くためにカッターで削り芯がむき出しになり先端も鋭利に尖っている鉛筆を片手に振りかぶっている、私。どうやってこの兄を押し倒したのだろうかと驚いたけれど、顔を固定させている右手に今までにないほど力が籠っていて、何となく納得した。
(あ。わたし、怒ってるのね)
 どこか他人事なのは、ここまで怒りの感情で溢れたのが初めてのことだったからだ。また、知らない自分がいた。感心するけれど、これは……あんまり、知りたくなかったかも。
「……あ」
 ぱっと力を抜いて立ち上がり、鉛筆を机の上に戻した。突然解放された兄は上体を起こすだけで目をしぱしぱさせていた。状況が掴めていないみたい。階段を上ってくる足音に気付けないものかな。ひょこりと開けっ放しのドアからお母さんが顔を覗かせる。お父さんに言われて様子を見に来たんだろうなあ。

「なにか大きい音がしたけれど大丈夫?……あら、お兄ちゃん、どうして美絵の部屋で、寝っ転がって……?」
「髪結ぶのに集中していたのに、お兄ちゃんが部屋のなかに勝手に入ってきて話しかけてきたから驚いちゃって、つい、突き飛ばしちゃったの。騒がせちゃってごめんね」
「あら……突き飛ばすのはよくないけれど、女の子の部屋に勝手に入る勉も悪いわね。だめよ、そんなことしたら」
「あ、う、うん。ごめんなさい」
「朝ご飯冷めちゃうから、はやくおいでなさいな」
「うん」

 お母さんは微笑んで階段を下っていった。兄が起き上がろうとするのを手を差し伸べてあげる。遠慮なく掴んできたぐにぐにした掌を思いっきり握って言ってやる。

「お母さんが来てくれてよかったね。というか……ドア、閉めなくてよかったね。じゃなかったら私どうしてたかわからなかったわ」

 無表情でそう言ってやると変な顔をしてじっとり手が濡れてきたのでさっと離して、スクールバックを持ってとっとと部屋を出た。今のは脅しでもあるし、本当にこう思ったことでもある。これでドアが閉まっていなければ……お母さんはノックだけで終わらせちゃうだろうから。
 今でさえ自然な言い訳がするすると出てきた。その少し前までは頭が真っ白だったのに。あ、でも現状把握は早かったかも?
(確かに、私結構頭回るのかも?)
 勉強ができるのとは別の、頭がいいっていうのはこういうことなのかも。言葉の本当の意味が分かった気がした。
 お兄ちゃんは確かに私よりも頭がいいけれど、別に有名大学にいっているわけじゃないし、高校のときだってトップになったこともないから。まあ、普通よりは少し出来がいいぐらいなのだろう。勉強を真面目にせず平均程度の成績の私を見下していたのかもね。


 階段を降りると父がもう玄関にいた。母が説明してくれたみたいで、お父さんはふたりとも仕方がないなと苦笑いして「いってきます」そう声をかけて家を出ていった。
「いってらっしゃい」
 そう言って父を見送った後、リビングへ向かう。お母さんとお姉ちゃんがすでに座っていて、私の席には朝食が置かれていたので、何も言わずに座る。
 味噌汁を啜っているとお姉ちゃんがたて肘をついて話しかけてくる。咀嚼音も不快。父の前ではしないけれど、学校とか普段どう食べているのかいつも気になる。

「朝からうるさいなあ」
「……」
「なんか言ったら」
「話すことなんてないわ」
「チッ、謝罪もないのかよ……」

 お姉ちゃんも高校最後の部活動も夏休みいっぱいで終了したらしく、ゆっくりご飯を食べていた。悪態をついてくるお姉ちゃんを軽くあしらって、今日は切り込んでみた。

「私にとやかくいう暇があったら自分の進路のことを考えたほうがいいんじゃないの。スポーツ推薦取れなさそうなんでしょ」

 味噌汁、白米、漬物、焼き魚、朝からこんなに食べると苦しくなるからもっと軽めの、食パン1枚とかでいいのになあ、と思いながら姉の顔を見る。何で知っているの、と言わんばかりの顔。
 この間深夜トイレに行ったときに父に相談していたのを聞いていたからである。スポーツ推薦にも色々条件があるみたいだけど、全国出場することもできなかったから難しいみたいね。私にはよく分からないけれどね。そもそも……お姉ちゃんは私より運動できるけれど、エースどころか補欠だしね。

「今から頑張って勉強したほうがいいよ。いつも赤点ギリギリなんでしょ?頑張ってね。お母さん、ご馳走様。私ももう行くね」
「お粗末様。行ってらっしゃい、気を付けてね」
「うん、行ってきます」

 私たちの会話を聞いていても、お母さんは相変わらず人形のようだ。俯いてしまったお姉ちゃんに気にかけることもなく普段通りに母親の役割を徹底している。さっさとリビングを出て玄関に向かうとやっと階段を降りてきたお兄ちゃんと鉢合わせになったけれど、特に会話することもなくローファーを履いて重い扉を開く。まだまだ日差しは眩しくて目を細めて歩き出す。

 家近くのゴミ置き場を網越しに眺めてみたけれど、どれがうちから出たものかも分からなかった。
既に虫も集っている上異臭も酷くて、触れる気にもならなかった。お守り生ゴミとともに捨てられたのなら、きっと色んな液体まみれになっていると容易に想像できてしまった。肩を落として仕方なく諦めて駅へと向かう。吊革を掴み、電車に揺られながらため息を吐くのを抑える。
 せっかくのお守りが、生ごみとともに捨て去られたのは思った以上に私は傷ついているようで、胸が苦しくなる。
 つい、姉にまで八つ当たりをしてしまった。まるで海中との繋がりの1本が切れてしまったような、そんな感覚。あの文字の羅列は海中が書いてくれたのが良かったのに。……また名前を書いてもらえないかな?言えば書いてもらえそうだけれど……ああ、でも、これから距離を置くってお父さんと約束してしまっているから、できないのかな。でも、私が海中を拒絶するなんてできない、だけど父のことを裏切ることもできない。ひっそり、会えないかな。隣のクラスの動きを観察して海中がひとりでいるところを上手いこと……でも、先生に見つかったら終わりだ。どうしよう。
 どうすれば海中に近寄れるかと案を思い描いては結局父への裏切りへの恐怖で打ち消すの繰り返しをしていたら学校の最寄り駅に着いていて、ホームに出て改札を目指す。

 私が、こんなに思い悩むのは、今日で最後になることだなんて知る由もなかった。解決したとかではなく、私が最も望んでいない展開が待っていた。

 駅から学校まで向かうまでの間、まだ7時台にも関わらず太陽は容赦なく道行く人間を照らし皮膚を焼いていく。近くを歩く確か同じクラスの女の子二人は綺麗に小麦色の肌で「海楽しかったね!」「また来年行こうね!」ときゃっきゃっと気が早いことに来年の約束を楽しそうにしていて、よく炎天下のなか肌を晒しに行けるものだと感心してしまう。
 まあ、あっちからすると夏にも関わらず白い肌の私が不思議でたまらないだろうけれど……。歩く人たちのなかに海中の姿がないか探してしまう。話しかけることはできなくても、その姿を見ることができたならそれはそれで嬉しいと思うから。そんな期待してしまうけれどそんな気持ちに反して目が隠れそうなほど長い前髪で癖のある黒髪と厚いメガネが特徴的な男子生徒は見当たらず、昇降口に辿り着いてしまった。
(なにも、うまくいかないなあ)
 でも、今日は海中が美術室に来てくれるはず。また、と言ってくれたから。父のことが過るけれど、とにかく見つからないよう警戒しつつ絵を作り上げていこうと決めて靴を履き替え終えて教室に向かおうとした。
(?人、多い……)
 学校内に進めようとした足がまた止まる。というよりも、止まることしかできなかった。ざわざわと人の群れで前に進めないのだから。大きな掲示板を見ていた。いったいなにが貼られていてこんな反応をしているんだろう、つま先立ちで掲示板を見る。

『僕が今まで彼らから受けてきたこと、家でされてきたことをここに記します』と、大きな紙に書かれていた。見覚えのある角張った文字で、何かのIDらしき英字の羅列、そして、ヒビの入った厚い眼鏡の写真も。

「これって、となりのクラスの男子だよね?確か、海中くん」
「うっわ、こんなことまでしてたの……酷いね」

 ざわついていて、それぞれの声を聞き取るのも難しいのに二人の女の子の会話が妙に耳に入ってきた。
 顔を横に向けると、さっき来年の約束をしていたクラスメイトだった。人をかき分けて二人のもとへと近づく。

「ねえ、何が書いてあるの?」
「あら?籠生さん??」
「海中は、なにをされてきたの?」
「えっと、こういうの、だって」

 誰とも話そうとしない私に急に話しかけられたことに驚き戸惑っているのがわかったけれど、それどころじゃなかった。海中が何をされていたのか知りたくて、再度問いかけた。
 躊躇いながらも手に持っているスマホの画面を私に向けてくれた。『海中』という名前と小さく書かれた英字、それ以外になにか文字も書いていたけれどそれよりも1番目を引いたのは下に映し出された写真。
 1枚は掲示板に貼られているものと同じように割れた眼鏡、散らかって足の踏み場がないどこかの部屋の中と、ゴミ箱に入れられたあんぱん、そして、頬が腫れている男の子の姿。顔の全部が見れないようにはなっているものの、誰なのかは分かるものには分かってしまう。


「……ありがとう。えっと、私のスマホでも、それ、見れる?よかったら教えてくれない?」


 あの後、教室で私のスマホでも見れるようにクラスメイトが教えてくれた。皆使っているSNSらしい。あの英字をIDで打ち込めばその人が作ったアカウントを閲覧することができる、と。私はずっとそのアカウント……海中のアカウントを、見ていた。
 そこには、私の知らない海中がいた。家のこと。……小学生のとき突然父がいなくなって母とふたり暮らし、小学生のとき熱を出そうとどこかへ出かけていった、給食が唯一の食事だったことがあった、電気が止まったことがあった、母が連れてきた男に殴られても無関心だったことなどが書かれていた。
 学校のこと。……父がいなくなったことがショックで口を聞けなくなった期間があってそこからいじめが始まったこと、中学からは手を出るようになったこと、高校では中学までいじめてきた人と繋がりのあった人も加わるようになったこと、放課後呼び出されて暴力を振るわれていたことが、書いてあった。

 教室のなかはそのSNSの話で持ちきりになっている。スマホのなかの海中のアカウントを余すこと無く見ていくともう先がないので、これで最後だ。こんなに長い時間スマホを覗くことがなかったので目が痛くなったけれど、それ以上に沈んだ気持ちになる。

(私、海中のことを、なにも知らない)

 そう痛感してしまった。私のことはいっぱい教えたけれど、海中は自分自身のことを教えてくれなかった。なんで教えてくれなかったのかな、言いにくかった?言いたくなかった?どっち??私が海中の知っていることというと……彼の夢と持っていたエッセイ漫画だけ。
(海中は、今日学校に来るのかな。隣のクラスを覗いたときにはその姿は無かった。
 ……もう、来る気がないから、こうしたのかな。どうして、海中の苦しみを私は知ることが出来なかったのかな。これじゃあ、見て見ぬふりする奴らと同じじゃない)唇を噛んで机の中に入れっ放しになっていた海中から借りたエッセイ漫画を取り出す。お守りも捨てられた私の唯一の繋がりになってしまったそれをなんの気もなくぱらりと捲る。すると、一枚の紙切れが舞い、床に落ちた。
(なにこれ?)
 前に開いたときには何も無かったはずだ。ノートの切れ端っぽいそれを拾う。
「、!」
 そこには『ごめん』という短い謝罪と、SNSのアカウントのIDがあった。その文字は何度も見てきたもので、私は急ぎまたスマホを手に取り教えてIDを入力した。だけど、先程のアカウントとは違い、許可がないと見れませんという機械的なアナウンスしか書かれていない、さみしいものだった。よく見ると鍵穴のようなものも書かれている。
 名前とアイコンだけは見ることができた。名前は海の中を巡る、そして、アイコンはあの海中が見せてくれた死にたいと言っていた海の写真だった。その下には文字が書いてある。海中のものだ。そう確信する。
 どうすれば内容を見れるのだろうか。分からないまま唯一押せそうなところ……フォロー申請、と書かれているところを押してみた。するとすぐにその全容が見れるようになった。アイコンの隣、名前の下のスペースには、こう記されていた。

『籠の中で生きる美しい絵を描くあなたへ』

 息を呑んだ。当て嵌まるのは私だけ、だと思う。こくり、溜まった唾液を飲み込んで私への手紙を読む覚悟を決めた。内容にあるのはひとつだけ。だけど、その下にどんどん書き連ねていっていて、長いメッセージになっていた。


「…………」


 それを読み終えた私は、席を立つ。直後予鈴が鳴り響くなか、すでにクラスの過半数以上の生徒がいるけれど関係なく、今まで静かにしていた私が突然勢いよく手を付き立ち上がる私に不思議そうな視線が向かってくる。

「籠生さん!?」

 クラスメイトから向けられたものなんて無視して鞄を持って駆け出していく。もうすぐ先生がきて出席をとって始業式を始めるためにみんなで集まらないといけないのに、突然どこかに行く私の名前を呼ぶ声も聞こえてきたけれど無視する。廊下を駆け出す私に他のクラスの生徒からの視線も集まったけれどそんなもの、どうでもいい。

「んだよ、海中のヤロウ。だるいことしやがって」
「ほんとになあ。次あったら反抗できねえように……うぶ!?」
「あ?!てめえなにしやごあっ!!」

 トイレの前で制服をだらしなく着崩した、汚い金髪二人組が何やらほざいていたのでスクールバックを勢いよく顔面にめり込ませた後、顔面を強打される痛みに悶えているのを一瞥して階段を駆け下りる。
その後も運良く先生に見つからずに学校から出ることに成功した。このまま電車に乗ってどこに行ったかわからなくさせよう。そして、調べなきゃ。

 あの海の場所を。海中が行きたいといっていた、海に、潮祷駅に……行かなくちゃ。



7/13ページ
スキ