レンズの向こう側
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(★)
あたし達は立ち上がって、もう一度だけキスをした。
リップ音が響き渡って、夜空に吸われていった。
もうすぐそこの、あたし達のコテージへ…またノブキがあたしを引っ張る形で歩いていく。
ノブキの背中を見つめながら、あたしはさっきまでの熱いやりとりを胸の中で反芻して、溢れてくる想いをやっぱり止められないでいた。
そうする内にコテージに着いて、ノブキが扉を開ける。
「入って…」
「ウン…」
ノブキに促されて玄関を跨ぐ。
重たいスキー靴を脱いで一段上に上がったところで、後ろからノブキに抱きしめられた。
「ノブ?」
ビックリして振り返ろうとする前に、ノブキの指があたしのウェアのジッパーを摘まんで、乱暴に下へ引いた。
つなぎタイプのあたしのウェアは、簡単に肩からスルリと抜けて、パサリと足元に落ちた。
コテージの中はノブキが出る前にエアコンのタイマーをかけてくれてたみたいで、脱いでも十分に暖かかった。
ノブキがあたしをくるりと半回転させる。
薄手のヒートテックのタートルネックロンTに、スキー用のスパッツ姿のあたし。
山小屋でもこの格好だったのに、今、明るい所で真正面からノブキに見られてると思ったら、たまらなく恥ずかしくなってきた。
ノブキがあたしの目を見ながら、自分もウェアを脱いで下に落としていく。
いつもなら、こんなとこに置いといたらしわになっちゃうよとか言って、畳むなりハンガーに掛けるなりするのに。
一切拾わずにノブキは一段上がって、何かボソボソッと言って、あたしの首筋に唇を這わせた。
「ンン…ッ」
ノブキが甘噛みを繰り返すと、あたしの体に甘い痺れが走った。
また何かボソボソッと言って、今度はシャツの上からあたしの胸を揉みしだくノブキ。
円を描く度に、尖端に置かれた中指が敏感な所を優しく擦って、体がビクンと跳ね上がる。
ノブキが与える刺激に溺れそうになりながらも、ノブキの言葉が気になるあたし。
「…なぁ…に、聞こえない…」
やっとのことで声を絞り出したのに、ノブキはあたしの唇を塞いで、今度はシャツの裾から手を入れて、背中のブラのホックを外した。
シャツの中ではだけたあたしの胸を、ノブキは強く揺さぶる。
「ア、ア、ア、ン、ノブ、ノブゥ」
こんな甘えた声、ノブキの前で出した事ない。
「ああ。せーか。
かわいい。
せーか。ああ。
…やらしい…」
…今度ははっきりと耳に届いた。
…