FALL

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「…んんっ…」

 今度は自分が声を漏らす番だった。

 芽衣子ちゃんの唇に、懸命な舌使いに酔いしれる。

 長いこと舌を絡め合い…

 ちゅぱっと音を立てたと同時に、はあっ、とお互いに息をついた。

「やば…止まらない…かも…」

「……」

 返事の代わりに…俯きながら小さく頷く芽衣子ちゃん。

 その柔かな黒髪を何度も撫でて、頬にくっつけた。

「芽衣子ちゃん…
 まだ…居れる…?」

 耳元で囁くと、芽衣子ちゃんは俺の胸元辺りの服をきゅっと握って…首を横に振った。

「ごめ…なさい…
 飛行機…たまたま空席が出て、昨日の内にチケット変更出来たんだけど…
 …今日の…朝9時なの…
 …もう、戻らないと…
 ヤスコに無理言って、車で空港に送ってもらうことになってるから…」

 部屋の壁掛け時計を見る。

 6:08。

 芽衣子ちゃんを抱く腕を緩めて、そっと手を引いて布団の側に座らせた。

 不思議そうに俺を見る芽衣子ちゃんを横目に、枕元に置いてあった自分のケータイを手にした。

 ピッ、ピッ…

 ひとしきり操作して、数十秒待つと、

 ♪~、と、短く着信音が鳴った。

 画面を確認して、それを芽衣子ちゃんに見せた。

 画面と俺を順番に見て…驚き顔の芽衣子ちゃん。



「許可、もらったから…



 …もうちょっとだけ…



 …俺と居て…?」



 そう言って



 再び芽衣子ちゃんを抱きしめて



 そのまま



 布団に倒れ込んだ



 俺の手からこぼれ落ちたケータイの画面には



 しょうがないね

 7時半にそっちに行くから

 感謝しなさいよ



 靖子からのメールが映し出されていた





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