『青服の日常』より
いくら何でもあの告白は急すぎやしなかったか?
布団の中でぐるぐる考える。
なんか、相手の想いも確かめてないのに一方的に告白して俺……よくない、というか、結果的に向こうも俺のこと好きだってわかったからよかったけど何急に告白しちゃってるわけ?
ぐるぐる。
何か変な奴だと思われてたらどうしよう。いや変な奴だと思われてるのは前からか? バイヤーお前は俺のことをどう思ってるんだいやこんな付き合うみたいな状況になってどう思ってるも何もないけどどう思ってるんだバイヤー、
ぐるぐるしているうちに思考の回転は速くなって、薄くなって、遠くなって、寝てしまった。
『PiPiPiPi!』
「ううう」
意識がはっきりしない。眠い。朝は弱いんだ。それでも頑張って出勤しないと欠勤扱いになったら困るし。
朦朧とした頭で準備して、ゼリー飲料を飲みながら駅まで行って電車に乗ってふにゃふにゃと出勤。
「はよッス」
「おはよー……バイヤー!?」
「オレですけど何か」
何でもない、
「いやなんか告白した後初邂逅とかなるとやっぱり緊張するというか何というか、!?」
本音と建前が逆になっている。
「素直さんッスねー」
「どうせわかりやすいですよ」
「フ」
ああなんか、いつもの感じ?
これなら心配することはないのか。付き合うとかそうなったからって俺たちの関係が変わるわけじゃないし、バイヤーから特別に何か思われるとかそういうわけでもないし。
「かわいいッスね」
「かわっ」
「かわいいですよ」
「あーそこ朝からゲロ甘いやり取りしてるなよ、頭に響く」
「ドクタ~おはよッス」
「はいはいおはよう、俺ァ徹夜だがな」
「徹夜お疲れさまです、ドクター」
「あァアンノウン、どうもな。で、この惨状は何だ?」
「俺たち付き合うことになったんスよね」
「はァ!?」
「バイヤー!」
言うのか!?
「急すぎやしないか?」
「えーとあのそれは、俺が急に言ったからで」
「アンノウンから!?」
衝撃の事実だわ……とこめかみを揉むドクター。
「お前はそれでよかったのか、バイヤー」
「よかったって?」
「いや……面倒事は起こすなよ。職場内恋愛は拗らせると後が痛い」
「ありがとうございますセンパーイ」
「私はやったことないけどな!」
「へえ~?」
ニヤニヤ笑うバイヤー。
「なんだその笑みは、気持ち悪い。俺はもう行くがな、お前等も大概にしとけよ」
「はーい」
しかめっ面で去っていくドクターに手を振って見送るバイヤー。
「言っちゃったな……」
「言いますよ?」
「こういうのって普通隠すもんじゃないのか?」
「そうスか?」
「なんか隠してこう、」
「隠して付き合うって?」
「そうそう」
「隠したいんスか?」
「いや隠したいというか何というか、それが普通なのかと思ってた」
「ああ。アンノウンさんが隠したいなら隠しますけど」
「いやもう言ったし? いいよもう、恥ずかしいけど」
「恥ずかしいようなことするんスか? 俺たちまだ健全ッスよね?」
「ばっ何言ってそんなのお前、」
「冗談ッスよ、ちゃんと段階踏みますから」
それじゃあ、と言って去っていくバイヤー。
ああ、と言って見送る俺。
PCの電源をつけてコートを脱ぐ。今朝も寒いな。空調をつける。
この職場、結構環境がよくて空調も高いやつ使ってるのかどうか知らないけどこの部屋はやけに暖まるのが速い。暑さ寒さに弱い俺的にはありがたいことだ。持つべきものは労働環境の整った雇用先。
って。
「段階踏みますから……?」
何の段階を踏むんだ???
ちょっと想像しかけてしまった俺は職場で何をと思ってぶんぶんと頭を振って、積み上げていた書類の処理を開始することで思考を埋めたのだった。
布団の中でぐるぐる考える。
なんか、相手の想いも確かめてないのに一方的に告白して俺……よくない、というか、結果的に向こうも俺のこと好きだってわかったからよかったけど何急に告白しちゃってるわけ?
ぐるぐる。
何か変な奴だと思われてたらどうしよう。いや変な奴だと思われてるのは前からか? バイヤーお前は俺のことをどう思ってるんだいやこんな付き合うみたいな状況になってどう思ってるも何もないけどどう思ってるんだバイヤー、
ぐるぐるしているうちに思考の回転は速くなって、薄くなって、遠くなって、寝てしまった。
『PiPiPiPi!』
「ううう」
意識がはっきりしない。眠い。朝は弱いんだ。それでも頑張って出勤しないと欠勤扱いになったら困るし。
朦朧とした頭で準備して、ゼリー飲料を飲みながら駅まで行って電車に乗ってふにゃふにゃと出勤。
「はよッス」
「おはよー……バイヤー!?」
「オレですけど何か」
何でもない、
「いやなんか告白した後初邂逅とかなるとやっぱり緊張するというか何というか、!?」
本音と建前が逆になっている。
「素直さんッスねー」
「どうせわかりやすいですよ」
「フ」
ああなんか、いつもの感じ?
これなら心配することはないのか。付き合うとかそうなったからって俺たちの関係が変わるわけじゃないし、バイヤーから特別に何か思われるとかそういうわけでもないし。
「かわいいッスね」
「かわっ」
「かわいいですよ」
「あーそこ朝からゲロ甘いやり取りしてるなよ、頭に響く」
「ドクタ~おはよッス」
「はいはいおはよう、俺ァ徹夜だがな」
「徹夜お疲れさまです、ドクター」
「あァアンノウン、どうもな。で、この惨状は何だ?」
「俺たち付き合うことになったんスよね」
「はァ!?」
「バイヤー!」
言うのか!?
「急すぎやしないか?」
「えーとあのそれは、俺が急に言ったからで」
「アンノウンから!?」
衝撃の事実だわ……とこめかみを揉むドクター。
「お前はそれでよかったのか、バイヤー」
「よかったって?」
「いや……面倒事は起こすなよ。職場内恋愛は拗らせると後が痛い」
「ありがとうございますセンパーイ」
「私はやったことないけどな!」
「へえ~?」
ニヤニヤ笑うバイヤー。
「なんだその笑みは、気持ち悪い。俺はもう行くがな、お前等も大概にしとけよ」
「はーい」
しかめっ面で去っていくドクターに手を振って見送るバイヤー。
「言っちゃったな……」
「言いますよ?」
「こういうのって普通隠すもんじゃないのか?」
「そうスか?」
「なんか隠してこう、」
「隠して付き合うって?」
「そうそう」
「隠したいんスか?」
「いや隠したいというか何というか、それが普通なのかと思ってた」
「ああ。アンノウンさんが隠したいなら隠しますけど」
「いやもう言ったし? いいよもう、恥ずかしいけど」
「恥ずかしいようなことするんスか? 俺たちまだ健全ッスよね?」
「ばっ何言ってそんなのお前、」
「冗談ッスよ、ちゃんと段階踏みますから」
それじゃあ、と言って去っていくバイヤー。
ああ、と言って見送る俺。
PCの電源をつけてコートを脱ぐ。今朝も寒いな。空調をつける。
この職場、結構環境がよくて空調も高いやつ使ってるのかどうか知らないけどこの部屋はやけに暖まるのが速い。暑さ寒さに弱い俺的にはありがたいことだ。持つべきものは労働環境の整った雇用先。
って。
「段階踏みますから……?」
何の段階を踏むんだ???
ちょっと想像しかけてしまった俺は職場で何をと思ってぶんぶんと頭を振って、積み上げていた書類の処理を開始することで思考を埋めたのだった。