5章

 王が帰ってきたと鬼たちは安堵した。
 アルテリアと昭晶が城へ招かれたあと、鬼たちは急いで破壊された建造物の修繕を行っていた。その最中、昭晶のみが城へと戻ってきたのだ。
 昭晶の顔は少しやつれていた。綺麗にまとめていた髪は乱れている。
「大丈夫ですか、王」
 狼星が急いで駆けつけるものの、昭晶は返事をせずにそのまま外へ出た。
 都のはずれにある山の麓にたどり着いた昭晶は手を挙げた。すると、山はぶるぶると震え、土を巻き上げながら盛り上がる。出てきたのは巨大な身体を持つ鬼だった。その拳が地面につくと、大地が激しく揺れた。
 狼星の知る限り、これほどの巨体を持つ鬼は一人しかいない。
 かつて、祖である星の子が鬼という種族を創ったとき、一番最初に生まれたとされる鬼だ。まだここで土に埋もれながらも生きていたとは。
 まるで岩のような手が昭晶をすくい上げる。王が何かを口にすると、鬼はかしこまって頭を下げた。昭晶は鬼の肩に乗り、両手を空に突き上げた。
「王、何をなさるつもりですか」
「昼の国に行くのだ。鬼を集めよ」
 昭晶の手から何かが空に向かって飛び立った。その瞬間、星空が大きく波打つ。
 空の揺らぎが落ち着くと、鬼たちは自分の目を疑った。
 ありえない数の星が地上を見下ろしていたのだ。夜の国の星と昼の国の星が一つの空で輝いていた。
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