もう一度そうぞうを始めよう

 目覚めると、そこに少年がいた。
 絵巻物から飛び出してきたかのような風貌の少年だった。十歳前後だろうか。耳元で髪を輪のようにして結い、平安貴族のような服を着ている。背丈はあるが、ふっくらとした頬は紅色に染まっていて愛らしい。
「ケンタ、探してたよ。こんなところにいたんだ、やっと見つかった。探してたんだから」
 キャン、と子犬が鳴いた。少年の腕の中に、小さな柴犬がいる。
 手をついて立ち上がろうとすると、パキ、と何かが折れる音がした。枯れた藪だった。
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