3章 白松リリア

 クリスマス。リリコの生誕記念配信は無事に終わった。台本をそのまま読んで、適当にダンスした。それでも怒涛のように高額のスパチャが送られてきた。そのなかで、ねぎさんは、相変わらず少額のスパチャを送ってきてくれている。何事もなかったかのように、リリコを推している。
 リリアのことなんて、忘れてしまったのだろう。いや、忘れようとしている最中なのかも。
 でも、いつ、ねぎさんがリリコから離れるか分からなかった。ねぎさんがリリコ推しをやめたら、あたしはもうリリコでいられない。
 だから、そうなってしまう前に、辞めることにした。
 リリコとして、本気を出さないまま、辞めることにした。
 年明け、リリコ引退を発表をした。
 この電撃発表に、ねぎさんがどういう反応をするかが気になった。でも、ねぎさんのことだから、何も呟いてないかもしれない。もうスパチャしなくて良くなった、とか思ってるのかも。
 怖くて、ねぎさんのアカウントを見ることができなかった。

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