6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「さて、次に行こうか」
「はあ……リドルさんの気の短さを舐めていた僕が愚かでした」
『…………』
今回オルトから命じられたのは、エディシアを参加させずにリドルとアズールの2人のみでIDカードを見つけるというものだった。
しかし2人の相性の悪さを散々見せられてきたエディシアは、さっそく揉めながら始まった戦闘を退屈そうに眺めていた。
エディシア自身彼らの実力は認めているので、敵に押し負けるという心配はしていない。
ただ……
「まだ文句を言っているのかい?まったく、モタモタしている暇はないよ」
「モタモタって……リドルさんこそ、急ぐあまりに逆に時間を無駄にしているんじゃないですか?テストで高得点を狙うなら、まずは問題をよく見て、配転が高い問題から解くのが効率的でしょう」
「”どれから解くか”と考えるより前に1問目にとりかかったほうが確実だし、時間の無駄にならないよ」
「まさかあなた、いつも1問目から順に解いてるんですか?」
「当然だろう。1問目から解こうが、最後から解こうがボクが取るのは満点だけだ」
「なるほど。僕と根本的に考え方が違うわけですね。どうりで合わないわけだ」
『はぁーーーー……』
唯一の懸念点は、彼らの口喧嘩で進むものも進まず、時間内に目的地へ辿り着けないという可能性だった。
喧嘩をするならリドルのように敵を全て倒してしまえばいい。
しかしそんなことを続けていればガス欠になってしまうので、アズールのように慎重にも進みたい。
能力は高いのに協力すれば失敗する。こういうところがロイヤルソードアカデミーに負け続ける要因の1つだろう。
アズールが軽くノックをして返答があれば当たりなのではと提案したことで、ひとまず喧嘩は収まった。
「!!中からノックが返ってきました。このケージかもしれません」
『(お、案外すぐに解決するかも)』
「では魔法でケージをあけるよ。中の人を傷つけないよう、力をセーブして……」
『っ!あぶな…!』
「キキーッ!キンダ!キン ノ オウカン!」
「なにっ!?ケージの外にもファントムが!?」
ケージを開けようと杖を構えるリドルと、それを見守るアズールの背後にファントムが突如飛びかかった。
離れて見ていたエディシアは咄嗟に声を出すも、2人の努力が水の泡となってはいけないと慌てて口を抑えた。
敵の居所を知らせてしまうのは十分ペナルティ対象と想定されるからだ。
「驚いた……助かったよ、アズール」
「これで僕の実力を認めていただけましたか?リーダーさん」
「キミ、さっきから何か勘違いをしていないかい?……まあいい、話は後にしよう。ケージを開けるよ」
「あ、ああ……やっと出られた!ファントムはケージの奥に!」
「お任せください。すぐに始末して……ん?ケージの奥にいるのは……」
『………?』
すぐさまアズールがフォローしたことで無事ファントムを倒した。
見事な協力……と言いたいところだが、礼を言われたアズールは嫌味を含めて返す。
気をとり直しケージを開けると、半泣きの女性研究員がリドルとアズールの元に駆け寄った。
女性が指さす先を2人が目を凝らし見据える。
エディシアも彼らの視線の先を確認すべく移動したが、揃って眉をしかめた。
「あれは本部内でボクたちを襲ってきたパワードアーマーじゃないか。あちこち壊れているし、襲ってくる様子はない」
「えっ!?奥にいたのは、ファントムじゃなかったの?」
「そのようです。なにはともあれ、ご無事でなにより。息つく暇もなく恐縮ですが、僕たちは急いで先に進まねばならない。あなたのIDカードを渡していただけますか?」
「は、はい。これです」
女性と一緒に入っていたのはファントムではなく、破損し動かなくなったパワードアーマーだった。
唖然とした女性はアズールの問いかけにハッとし、ポッケに入れていたIDカードを手渡す。
女性の無事とIDカードの受け取りを確認したリドルはタルタロスからの脱出を促した。
女性研究員は感謝を述べ、小走りで収容所を出て行った。
「オルトさん、完全に僕らをおちょくっていますね」
「グギギ……すぐに最下層にたどり着いて、絶対に首をはねてやる!」
『先輩たちお疲れ様です。さすがでした』
「おや、そのわりには僕らのことを随分と冷めた目で見ていましたが?」
「ああ。とても大きな溜め息をつきながらね」
『何をおっしゃるやら』
試練と喧嘩に夢中だと思われていたリドルとアズールにはお見通しだったようで、歓迎ムードとはいえない様子で駆け寄ったエディシアを迎えた。
エディシアは誤魔化すように早く次の場所へ向かうよう提案した。