Episode1 ずっとこの日を待っていた
端的に言おう、また戻ってきてしまった。
途中までは少女を見つけた時と同じ出来事だったが少女を見つけた時とはまた違う気配を感じている。
これは、明らかな敵意だ。
目の前にいる人物は間違いなく敵であると体が、本能が察知していた。
「おいおいおい、なんだよあいつ…なんか気味悪い
……人間……だよな……?でもなんだこれ……」
アフィンも流石に場の空気のおかしさに気づいたのだろう
声はひきつっていた
「貴様は……」
俺に視線を向けた瞬間敵意から明確な殺意を感じ取り武器を持つ手に力が入る。
「相棒……お前の知り合いか?……って感じでもなさそうだな」
「知り合いが寒気を催すほどの殺気を放つと思うか」
「えっ?殺気??」
俺の言葉に素っ頓狂な声を出すアフィン。
殺気を放っていた相手はこちらに確実に狙いを定めている。
「……殺す」
「なっ!!ちょ!何やってんだ!」
駆け出した相手にまさか攻撃してくると思っていなかったのかアフィンは慌てている。
「下がれアフィン!」
まずい!このままじゃアフィンも巻き添えになると察し、急いでアフィンを後ろに引き下げる。
あと少しで刃がこちらに触れると思った瞬間、響いたのは肉を切り裂く音とかけ離れた音だった。
「……っ!」と言う声にならない音と共に仮面をつけた何者かは距離をとる。
刃を受け止めたのであろうナックル使いの男は相手に負けず劣らずの殺気を相手に向けていた。
「おいおいおい……気まぐれでもたまには任務に来てみるモンだなぁ……面白いことになってるじゃねぇか
美味そうな獲物が2匹も同時に……
くふ、くふふっ、ふははははっ!」
「まさかのク行二段活用だと……」
「ンなこといってる場合か!」
なかなかいないぞ、今どきあんな笑い方のやつは……という言葉は飲み込み。
突如現れた味方かどうかもわからない男視線を向ける。
全く……今回は色々と起こりすぎるぞ。
「おいシーナ、こいつらは誰だ、どこのどいつだ、さっさと調べろ」
シーナと呼ばれたもう1人のアークスはすぐさまデータベースから敵の情報を調べようとする。
が、ふと手を止めて困惑をあらわにした。
「はい……?……あの、ゲッテムハルト様
そちらの方の情報、どこにもありません」
「何?」
ゲッテムハルトと呼ばれた男の意識がシーナに向くと仮面の男はすぐさまこの場を立ち去った。
一瞬の静寂とともにゲッテムハルトの舌打ちがナベリウスの森に響く。
「ちっ、逃げやがったか
なかなか楽しめそうだったってのに」
どこか余韻に浸るようなゲッテムハルトの様子とは裏腹に俺の隣にいるアフィンは混乱の極みと言った様子だ。
「次から次へとなんなんだよいったい……」
ため息混じりの声に全くだと同意を示すとゲッテムハルトがこちらを向く。
「よぉ、そこのお前」
一瞬アフィンが身をすくめるが直ぐに俺に向かって言っていると気づいたのだろう心配そうな表情でこちらを見てきた。
「……俺か」
「そうだ、物分りいいじゃねぇか
あいつ、ナニモンだ?
お前のこと狙ってただろ」
「あいにくだが知らないな」
「知らねぇだァ?しらばっくれてもいいことはねェぞ」
「こちらもいきなり襲いかかられて混乱しているんだ
不要な詮索はしないでもらいたい」
少し突き放すような言い方ではあるが、こちらとしてもまだ状況を詳しく把握しているとは言い難い。
見知らぬ相手から敵意を向けられることはないよう常日頃気を使ってはいるが、どの場面で他者の逆鱗に触れるかは分からないものだ
それは彼相手でも同じである。
「……ふん、その様子だと本当に知らねェみてェだな」
「……そうジロジロ見られても困るのだが」
「雰囲気はいい感じだが……弱い
お前とヤるのはまだ早そうだな」
少し警戒していた俺はゲッテムハルトのつまらなそうな声にこれ以上の面倒ごとは起こらないだろうとほっとした。
「殺し合いに興じる趣味はもちあわせていないから強くなったとしても遠慮させてもらう」
「はっ、言うじゃねぇか」
吐き捨てるような言葉と共に踵をかえすゲッテムハルトは心底つまらないと言わんばかりに声を上げる。
「はぁ、興ざめだ、途端につまんなくなっちまった
帰るぞシーナ!トロトロすんな!」
「はい、ゲッテムハルト様」
「それではフィスウル・ユリス様
失礼致します」
小さく会釈する彼女に釣られて俺も軽い会釈をすると「俺は無視かい!」というアフィンの悲痛な声が聞こえてきた。
「そのうち有名になれるさ、保証はしないが」
「相棒まで!?
……はぁー、ほんとなんだってんだよ一体……
どっと疲れちまった、もう戻ろうぜ、相棒……って先に帰るなよ!!!!」
後ろを振り返るとまだ先の場所にいたアフィンが駆け寄ってくる。
一瞬小動物みたいだと思ったのは言わないでおこう……。
「すまないてっきり付いてきていると……」
「素かよ!!」
おかしいなこの前は普通についてきていたような気がするんだが……。
今回のことについては色々と彼女に聞かないといけないかもしれないな……。
とはいえ、マターボードの発生がない限りは話が出来ないんだろうが。
そう簡単に出来るものでもないのかもしれないな。
「相棒、今日は散々だったな」
キャンプシップへのワープエリアにたどり着くと疲れ顔のアフィンがため息混じりにつぶやく。
ハブられたのが相当応えたらしい。
「特にお前の扱われ方がな」
「酷すぎるってあんなの……あー、俺自信なくしそう……」
まぁあの手の奴らはアフィンのように根が優しいやつは相手にしない傾向がある。
俺は……どうだかは分からないが。
弱いと言われている以上どっかでやっかみを受けることもないだろう。
「俺達はまだ新人だぞ、それくらいで自信をなくしてたらキリがない」
「それはそうだけど……」
ジジ……と視界の歪みと共にキャンプシップ内部に到着した俺は、本来この場所にいるはずだったアフィンに少々、この先の不安を覚えてしまった。
途中までは少女を見つけた時と同じ出来事だったが少女を見つけた時とはまた違う気配を感じている。
これは、明らかな敵意だ。
目の前にいる人物は間違いなく敵であると体が、本能が察知していた。
「おいおいおい、なんだよあいつ…なんか気味悪い
……人間……だよな……?でもなんだこれ……」
アフィンも流石に場の空気のおかしさに気づいたのだろう
声はひきつっていた
「貴様は……」
俺に視線を向けた瞬間敵意から明確な殺意を感じ取り武器を持つ手に力が入る。
「相棒……お前の知り合いか?……って感じでもなさそうだな」
「知り合いが寒気を催すほどの殺気を放つと思うか」
「えっ?殺気??」
俺の言葉に素っ頓狂な声を出すアフィン。
殺気を放っていた相手はこちらに確実に狙いを定めている。
「……殺す」
「なっ!!ちょ!何やってんだ!」
駆け出した相手にまさか攻撃してくると思っていなかったのかアフィンは慌てている。
「下がれアフィン!」
まずい!このままじゃアフィンも巻き添えになると察し、急いでアフィンを後ろに引き下げる。
あと少しで刃がこちらに触れると思った瞬間、響いたのは肉を切り裂く音とかけ離れた音だった。
「……っ!」と言う声にならない音と共に仮面をつけた何者かは距離をとる。
刃を受け止めたのであろうナックル使いの男は相手に負けず劣らずの殺気を相手に向けていた。
「おいおいおい……気まぐれでもたまには任務に来てみるモンだなぁ……面白いことになってるじゃねぇか
美味そうな獲物が2匹も同時に……
くふ、くふふっ、ふははははっ!」
「まさかのク行二段活用だと……」
「ンなこといってる場合か!」
なかなかいないぞ、今どきあんな笑い方のやつは……という言葉は飲み込み。
突如現れた味方かどうかもわからない男視線を向ける。
全く……今回は色々と起こりすぎるぞ。
「おいシーナ、こいつらは誰だ、どこのどいつだ、さっさと調べろ」
シーナと呼ばれたもう1人のアークスはすぐさまデータベースから敵の情報を調べようとする。
が、ふと手を止めて困惑をあらわにした。
「はい……?……あの、ゲッテムハルト様
そちらの方の情報、どこにもありません」
「何?」
ゲッテムハルトと呼ばれた男の意識がシーナに向くと仮面の男はすぐさまこの場を立ち去った。
一瞬の静寂とともにゲッテムハルトの舌打ちがナベリウスの森に響く。
「ちっ、逃げやがったか
なかなか楽しめそうだったってのに」
どこか余韻に浸るようなゲッテムハルトの様子とは裏腹に俺の隣にいるアフィンは混乱の極みと言った様子だ。
「次から次へとなんなんだよいったい……」
ため息混じりの声に全くだと同意を示すとゲッテムハルトがこちらを向く。
「よぉ、そこのお前」
一瞬アフィンが身をすくめるが直ぐに俺に向かって言っていると気づいたのだろう心配そうな表情でこちらを見てきた。
「……俺か」
「そうだ、物分りいいじゃねぇか
あいつ、ナニモンだ?
お前のこと狙ってただろ」
「あいにくだが知らないな」
「知らねぇだァ?しらばっくれてもいいことはねェぞ」
「こちらもいきなり襲いかかられて混乱しているんだ
不要な詮索はしないでもらいたい」
少し突き放すような言い方ではあるが、こちらとしてもまだ状況を詳しく把握しているとは言い難い。
見知らぬ相手から敵意を向けられることはないよう常日頃気を使ってはいるが、どの場面で他者の逆鱗に触れるかは分からないものだ
それは彼相手でも同じである。
「……ふん、その様子だと本当に知らねェみてェだな」
「……そうジロジロ見られても困るのだが」
「雰囲気はいい感じだが……弱い
お前とヤるのはまだ早そうだな」
少し警戒していた俺はゲッテムハルトのつまらなそうな声にこれ以上の面倒ごとは起こらないだろうとほっとした。
「殺し合いに興じる趣味はもちあわせていないから強くなったとしても遠慮させてもらう」
「はっ、言うじゃねぇか」
吐き捨てるような言葉と共に踵をかえすゲッテムハルトは心底つまらないと言わんばかりに声を上げる。
「はぁ、興ざめだ、途端につまんなくなっちまった
帰るぞシーナ!トロトロすんな!」
「はい、ゲッテムハルト様」
「それではフィスウル・ユリス様
失礼致します」
小さく会釈する彼女に釣られて俺も軽い会釈をすると「俺は無視かい!」というアフィンの悲痛な声が聞こえてきた。
「そのうち有名になれるさ、保証はしないが」
「相棒まで!?
……はぁー、ほんとなんだってんだよ一体……
どっと疲れちまった、もう戻ろうぜ、相棒……って先に帰るなよ!!!!」
後ろを振り返るとまだ先の場所にいたアフィンが駆け寄ってくる。
一瞬小動物みたいだと思ったのは言わないでおこう……。
「すまないてっきり付いてきていると……」
「素かよ!!」
おかしいなこの前は普通についてきていたような気がするんだが……。
今回のことについては色々と彼女に聞かないといけないかもしれないな……。
とはいえ、マターボードの発生がない限りは話が出来ないんだろうが。
そう簡単に出来るものでもないのかもしれないな。
「相棒、今日は散々だったな」
キャンプシップへのワープエリアにたどり着くと疲れ顔のアフィンがため息混じりにつぶやく。
ハブられたのが相当応えたらしい。
「特にお前の扱われ方がな」
「酷すぎるってあんなの……あー、俺自信なくしそう……」
まぁあの手の奴らはアフィンのように根が優しいやつは相手にしない傾向がある。
俺は……どうだかは分からないが。
弱いと言われている以上どっかでやっかみを受けることもないだろう。
「俺達はまだ新人だぞ、それくらいで自信をなくしてたらキリがない」
「それはそうだけど……」
ジジ……と視界の歪みと共にキャンプシップ内部に到着した俺は、本来この場所にいるはずだったアフィンに少々、この先の不安を覚えてしまった。