Episode1 ずっとこの日を待っていた
「……本当に行くのだな」
「あぁ、今までありがとう……じいさん」
「はっはっはっ!今生の別れではあるまいに、しんみりしすぎだ!はっは!」
「…………」
「〝あ、そうだった〟みたいな顔をしているなぁ!
……全く、お前さんは少し事を重く構えすぎだ…
半年の研修が終わればお前さんも立派なアークス。
体を壊さない程度に頑張るといい
それに…わしも元アークスだ、時に暇があればまた鍛錬の相手でもしよう」
ぽんぽんと軽く肩を叩かれ、少しだけ心配そうな面持ちでキャストの老人はフィスウル・ユリスを見た。
「楽しみに、してる」
深い濃い色の肌とは対照的に明るく輝くような両の目は片方ずつ色が違う。
おおよそ人にはないような鋭い角も彼の人外性を強く表していた。
しかしその表情は驚くほど穏やかで青年の性格をよく表していた。
「はっはっはっ!それではな
ジグやレギアス似合ったらよろしく頼むぞ」
キャストの老人ライゲンから聞いた名はアークスを目指すものならであれば1度は耳にするような名前。
ライゲンはかつて40年前の大戦の際回復不能の重傷を負いキャストに体を作り替えたのだという。
まだ人間だった時に仲が良かったのが六芒均衡の者達というのだから驚かずにはいられない。
今日では後継の育成に力を注いでいるが必要とあらばアークスとしても活動している。
フィスウルはまだ幼い頃そんなライゲンに拾われた。
「そんなとんでも有名人に会えるほどし出世はできないさ」
そんなフィスウルの言葉にライゲンは豪快に笑う。
「いや、レギアスはともかくジグは意外とそこら辺に立ってるぞ?」
「…………」
「そんな呆れた顔せんでもいいだろう…確かにあ奴らは有名じゃった、しかしもうあれからかれこれ40年……
レギアスはともかくジグは武器職人としても腕がいい、いいものを作ってもらえるだろう
何しろまだまだ伸びしろがあるからな、お前さんは」
「どうも……」
有名有名と言っておきながらそこら辺にたってるなどと言うライゲンに呆れた顔を向けるとさして気にした風もなくさっと話を変えられる
この話に深い意味は無い
しかし会えば得であるということだけはフィスウルにも理解出来た
「それじゃ……行ってくる」
「あぁ!月一で連絡してくれると助かる、妻が寂しがるんでな」
フルフェイスのヘッドアーマーからちらりと覗く目(と言ってもカメラなのだが)は幾分寂しさを滲ませているようにフィスウルは感じた。
「あんなに弟子がいるのにか……」
「はっはっはっ!ワシらにとってはお前さんは弟子と言うより息子か孫、だからこそ余計に心配にもなるというものよ。
まぁ他の奴らも我が子同然だがな」
「そうか……」
改めて言われると照れてしまうのか顔を俯かせると少し顔を逸らしたフィスウル。
そんな彼にライゲンは再び明るく笑うのであった。
これから起こるであろう奇跡という名の永き戦いの幕開けであることなど何も知らずに…………。
「あぁ、今までありがとう……じいさん」
「はっはっはっ!今生の別れではあるまいに、しんみりしすぎだ!はっは!」
「…………」
「〝あ、そうだった〟みたいな顔をしているなぁ!
……全く、お前さんは少し事を重く構えすぎだ…
半年の研修が終わればお前さんも立派なアークス。
体を壊さない程度に頑張るといい
それに…わしも元アークスだ、時に暇があればまた鍛錬の相手でもしよう」
ぽんぽんと軽く肩を叩かれ、少しだけ心配そうな面持ちでキャストの老人はフィスウル・ユリスを見た。
「楽しみに、してる」
深い濃い色の肌とは対照的に明るく輝くような両の目は片方ずつ色が違う。
おおよそ人にはないような鋭い角も彼の人外性を強く表していた。
しかしその表情は驚くほど穏やかで青年の性格をよく表していた。
「はっはっはっ!それではな
ジグやレギアス似合ったらよろしく頼むぞ」
キャストの老人ライゲンから聞いた名はアークスを目指すものならであれば1度は耳にするような名前。
ライゲンはかつて40年前の大戦の際回復不能の重傷を負いキャストに体を作り替えたのだという。
まだ人間だった時に仲が良かったのが六芒均衡の者達というのだから驚かずにはいられない。
今日では後継の育成に力を注いでいるが必要とあらばアークスとしても活動している。
フィスウルはまだ幼い頃そんなライゲンに拾われた。
「そんなとんでも有名人に会えるほどし出世はできないさ」
そんなフィスウルの言葉にライゲンは豪快に笑う。
「いや、レギアスはともかくジグは意外とそこら辺に立ってるぞ?」
「…………」
「そんな呆れた顔せんでもいいだろう…確かにあ奴らは有名じゃった、しかしもうあれからかれこれ40年……
レギアスはともかくジグは武器職人としても腕がいい、いいものを作ってもらえるだろう
何しろまだまだ伸びしろがあるからな、お前さんは」
「どうも……」
有名有名と言っておきながらそこら辺にたってるなどと言うライゲンに呆れた顔を向けるとさして気にした風もなくさっと話を変えられる
この話に深い意味は無い
しかし会えば得であるということだけはフィスウルにも理解出来た
「それじゃ……行ってくる」
「あぁ!月一で連絡してくれると助かる、妻が寂しがるんでな」
フルフェイスのヘッドアーマーからちらりと覗く目(と言ってもカメラなのだが)は幾分寂しさを滲ませているようにフィスウルは感じた。
「あんなに弟子がいるのにか……」
「はっはっはっ!ワシらにとってはお前さんは弟子と言うより息子か孫、だからこそ余計に心配にもなるというものよ。
まぁ他の奴らも我が子同然だがな」
「そうか……」
改めて言われると照れてしまうのか顔を俯かせると少し顔を逸らしたフィスウル。
そんな彼にライゲンは再び明るく笑うのであった。
これから起こるであろう奇跡という名の永き戦いの幕開けであることなど何も知らずに…………。