chain.2 衝突
【ユイ視点】※吸血注意
私は部屋に戻ってベットに横になった。
今日は、色々な事が起きたから少し疲れたかなぁ……。
けど、まさかもう一人兄弟がいたなんて思わなかった。
しかもそれがシュウさんと双子って、意外だなぁ。
「……ヨウさんって、他の兄弟と違って雰囲気が違う」
纏ってる雰囲気は不思議だけど、他と違って私の話を聞いてくれるし……シュウさんとも性格が正反対だったな。
ヨウさんは明るくて、表情もコロコロ変わる。
それに引き換えシュウさんは、無気力で何に対してもやる気なくて、無表情に近い。
双子でここまで違うって、逆に凄い。
でも、ヴァンパイアであることには変わりない。
それなのになんで、私の血を吸わないのかな?
あ、もしかしてヨウさんにはもう決めてる人がいるとか?
だったら本当に、言葉の通り信じてもいいのかな。
「……新しい兄弟か。ヨウさんとなら、やっていけそうな気がする」
天井を見上げて、私は目を閉じた。
ヨウさんが呼んできてくれるまで、少し寝ようかな。
きっと、今まで通り過ごしていけるよね?
どのくらいだったんだろう。
誰かに触られてる感覚で目を覚ました。
ゆっくり目を開けると、目の前にアヤトくんの顔があった。
私が起きたことに気づいたアヤトくんは、ニヤリと笑う。
「あ?やっと起きたのかよ」
ビックリして逃げようとするけど、すぐに腕を掴まれベットに押し倒される。
ああ、どう足掻いたってアヤトくんからは逃げられない。
「何逃げようとしてんだよ。もしかしてあれか?
わざと逃げてオレを怒らせて酷い事されたかったのか?」
「ち、ちがっ……」
「違くねぇよ。お前はそうやって、いつもいつも言うけどよ?
心の奥底ではそう思ってる女なんだよ。」
ニヤッと笑ったアヤトくんの牙が、ゆっくり近づき私の首筋に舌を這わせた。
不快感なのか快感なのか分からない感覚が全身に走った。
首筋に牙が当たる感覚がして、その痛みに身を硬くした。
鋭い牙が私の皮膚を突き破る。
アヤトくんの血が飲む音と、微かにくぐもったアヤトくんの声。
その音と声が、やけに耳に入った。
私は抵抗することもできず、痛みに耐えるだけだった。
「はぁ、はっ……やべぇ、すげぇ力が漲ってくるぜ。
やっぱりお前の血は最高だ。もっと、もっとその血をよこせ……んっ……」
「いやぁ!痛っ、痛い……アヤトくん、やめっ」
肩に牙を突き立てられ、首筋とは違う痛みが走る。
涙を流して泣き叫んでも、誰も助けにはきてくれない。
ここには、私の逃げる場所なんてないんだ。
「くく、ははっ!嫌とか言いながら、腰が揺れてるぜ?
痛くされて感じてんのかよ、このエロ女。
ほら、お前の望む快感、与えてやるよ。
だからもっともっと、甘い血をオレに捧げろ」
「ッ、いや……」
怖い。いつになくアヤトくんが怖い。
どうして。ヨウさんが帰ってきてから、いつものアヤトくんじゃないみたい。
私の首筋に、肩に、胸に、腕に……無数の牙の痕を付けられた。
逃げようとしたって逃げられない。今のアヤトくんは、ひたすら私の血を啜っていた。
「はっ、はっ……やべぇ、とまんねぇ。
くくっ、はははっ!お前の血を使えば、オレ様が一番に、最強になれる。
早くオレだけにハマっちまえよ、ユイ」
「ア、ヤトく……」
狂ったように笑う。狂ったように私の血を吸う。黄緑の瞳が怪しく光る。
その奥底には、私が踏み込めない感情があるように思えた。
「だ、れか……助けっ……」
「誰もこねぇよ。ここにいる連中は全員、お前をエサとしか思ってねぇんだからよ」
違う、違う。
一人だけ、一人だけ信用できる人がいる。
あの人だけは、信じられる気がする。
―――俺は、ユイちゃんの血は吸わない
「……ヨウ、さん」
「……今、なんつった?ヨウだって?」
呟いた言葉にアヤトくんの声が低くなった。
怒ってる声が、私の耳に入った。
「お前、ヨウに会って気でも触れたのか?
あんな奴なんか見んじゃねぇよ。あんな奴の名前、オレ様の前で言うんじゃねぇ!」
「きゃあ!」
顔のすぐ横に拳を叩きつけられた。
当たらなかったけど、私の恐怖を生み出すのに十分だった。
心臓が嫌なくらいどくどくと脈打つ。
「あんな奴、兄弟なんて思いたくもねぇ。あんな奴、大っ嫌いだ」
二人の間に、何があったのかなんて分かんない?
きっと私が知らない、踏み込んではいけない部分だと思う。
けど、こんな苦しそうな顔するアヤトくんなんて見たこともなかった。
「ムカつく。なんで帰ってくんだよ。帰ってくんなってんだ。
ぶっ殺してやる。散々オレで遊びやがって……ヨウの奴、許さねぇ」
「アヤっ……きゃっ!痛い!痛いよアヤトくん!やめてっ!」
私の肩を掴み、無我夢中で私の肌に牙を突き立てた。
さっきまでより酷く、痛みの中にある快感なんて拾えないくらい、痛みの方が遥かに強かった。
痛いって言っても、やめてって言っても、アヤトくんは何も言わなかった。
ただ夢中になって私の首筋に牙を突き立てるだけ。
「はっ、痛いのは当たり前だろ?痛くしてやってんだからよ。
ほら、もっと泣け。叫べ。もっとオレ様を興奮させろよ。
そうすれば、痛みなんて忘れるくらい、ヨくしてやる」
『アヤト。何してるの?』
ふいに聞こえた優しい声。
痛みに溢れた涙で視界はぼやけててはっきりとは見えなかったけど、すぐに分かった。
部屋の扉に寄りかかるように、ヨウさんが立っていた。
アヤトくんの腕が微かに震えていのが視界の端に見えた。
「何しにきたんだよ。こいつはオレ様のだ。てめぇなんかに渡さねぇ」
『渡す渡さないの話じゃないだろ。ユイちゃんは誰のものでもない。
選ぶ権利はユイちゃんにある。アヤト、ユイちゃんの上から退きな』
ヨウさんは入口から動かずそう言った。
あぁ、これではっきりと分かった。
ヨウさんは、ちゃんと味方だ。
あの言葉に、嘘偽りはなかった。
「嫌だね。そう言って偽善者ぶってこいつの血を吸おうって根端なんだろ?
んなことさせるかよ。こんな極上な血を持つ女、誰がてめぇみてぇな奴に渡すか!」
『退け』
その一言が、凄く冷たかった。私ですら、その言葉に恐怖を感じた。
ギシッとベットが音を立てたかと思うと、アヤトくんがヨウさんを見つめたままゆっくり私の上から退いた。
ヨウさんがそれを確認すると、ゆっくり私に近づき首筋を見た。
傷痕を見て、凄く悲しそうな表情をしたけど、喉が上下に動いたのが分かった。
「ヨウ、さ……」
『……ごめんね。痛かったよね?俺がもう少し早く来てたらよかった』
「大丈夫、です。ヨウさんのせいじゃ、ないですから。来てくれただけで、嬉しいです」
喉が上下したとき、少し警戒をしてしまった。
けど、そんな不安はすぐに飛んでいく。
私の傷痕に優しく触れ、切なく謝ったヨウさんの言葉に、私はどれだけ救われたことだろう。
その言葉は本当に心の底から謝っている声だった。
『ユイちゃん、俺の部屋に行ってな?場所は分かるね?』
「……はい」
『大丈夫。誰も俺の部屋には入らないから。俺が戻るまでゆっくりしてていいよ』
頭を撫でられ、私は大人しく部屋から出て行くことにした。
服を整えながらヨウさんの部屋へ向かった。
ヨウさんとアヤトくんを二人にして残しちゃったけど、大丈夫かな?
あの二人、シュウさんとレイジさんみたいに、なにか深い溝がある気がする。
「ここ、だよね?隣、シュウさんの部屋だし……えっと、お邪魔します」
言われた通りヨウさんの部屋にそっと入った。
入った途端、甘い香りが鼻を擽る。
部屋は、シュウさんの部屋とほぼ同じような感じだった。
やっぱり双子だから、真似したくなるのかな?
でも、シュウさんの部屋と違って白い薔薇の花が花瓶にささっていた。
「あ、これ庭にある?ふふっ、いい香り。ヨウさん、薔薇が好きなのかな?」
花瓶に近づき、匂いを嗅ぐととてもいい香りがした。
逆巻家のお屋敷には薔薇が咲いてる。とても綺麗に咲いていて、月明かりに照らされると輝いて見える。
薔薇の匂いを楽しんでると、不思議と嫌な事を忘れられる気がする。
でも、首に残ったこの牙の痕は、中々消えない。
ドサッとヨウさんのベットに倒れこんだ。
悪いって思ったけど、血をアヤトくんに吸われすぎて、貧血が起こっていた。
「少し、寝てもいいかな?ヨウさんには起きてから……謝、ろう……」
私は部屋に戻ってベットに横になった。
今日は、色々な事が起きたから少し疲れたかなぁ……。
けど、まさかもう一人兄弟がいたなんて思わなかった。
しかもそれがシュウさんと双子って、意外だなぁ。
「……ヨウさんって、他の兄弟と違って雰囲気が違う」
纏ってる雰囲気は不思議だけど、他と違って私の話を聞いてくれるし……シュウさんとも性格が正反対だったな。
ヨウさんは明るくて、表情もコロコロ変わる。
それに引き換えシュウさんは、無気力で何に対してもやる気なくて、無表情に近い。
双子でここまで違うって、逆に凄い。
でも、ヴァンパイアであることには変わりない。
それなのになんで、私の血を吸わないのかな?
あ、もしかしてヨウさんにはもう決めてる人がいるとか?
だったら本当に、言葉の通り信じてもいいのかな。
「……新しい兄弟か。ヨウさんとなら、やっていけそうな気がする」
天井を見上げて、私は目を閉じた。
ヨウさんが呼んできてくれるまで、少し寝ようかな。
きっと、今まで通り過ごしていけるよね?
どのくらいだったんだろう。
誰かに触られてる感覚で目を覚ました。
ゆっくり目を開けると、目の前にアヤトくんの顔があった。
私が起きたことに気づいたアヤトくんは、ニヤリと笑う。
「あ?やっと起きたのかよ」
ビックリして逃げようとするけど、すぐに腕を掴まれベットに押し倒される。
ああ、どう足掻いたってアヤトくんからは逃げられない。
「何逃げようとしてんだよ。もしかしてあれか?
わざと逃げてオレを怒らせて酷い事されたかったのか?」
「ち、ちがっ……」
「違くねぇよ。お前はそうやって、いつもいつも言うけどよ?
心の奥底ではそう思ってる女なんだよ。」
ニヤッと笑ったアヤトくんの牙が、ゆっくり近づき私の首筋に舌を這わせた。
不快感なのか快感なのか分からない感覚が全身に走った。
首筋に牙が当たる感覚がして、その痛みに身を硬くした。
鋭い牙が私の皮膚を突き破る。
アヤトくんの血が飲む音と、微かにくぐもったアヤトくんの声。
その音と声が、やけに耳に入った。
私は抵抗することもできず、痛みに耐えるだけだった。
「はぁ、はっ……やべぇ、すげぇ力が漲ってくるぜ。
やっぱりお前の血は最高だ。もっと、もっとその血をよこせ……んっ……」
「いやぁ!痛っ、痛い……アヤトくん、やめっ」
肩に牙を突き立てられ、首筋とは違う痛みが走る。
涙を流して泣き叫んでも、誰も助けにはきてくれない。
ここには、私の逃げる場所なんてないんだ。
「くく、ははっ!嫌とか言いながら、腰が揺れてるぜ?
痛くされて感じてんのかよ、このエロ女。
ほら、お前の望む快感、与えてやるよ。
だからもっともっと、甘い血をオレに捧げろ」
「ッ、いや……」
怖い。いつになくアヤトくんが怖い。
どうして。ヨウさんが帰ってきてから、いつものアヤトくんじゃないみたい。
私の首筋に、肩に、胸に、腕に……無数の牙の痕を付けられた。
逃げようとしたって逃げられない。今のアヤトくんは、ひたすら私の血を啜っていた。
「はっ、はっ……やべぇ、とまんねぇ。
くくっ、はははっ!お前の血を使えば、オレ様が一番に、最強になれる。
早くオレだけにハマっちまえよ、ユイ」
「ア、ヤトく……」
狂ったように笑う。狂ったように私の血を吸う。黄緑の瞳が怪しく光る。
その奥底には、私が踏み込めない感情があるように思えた。
「だ、れか……助けっ……」
「誰もこねぇよ。ここにいる連中は全員、お前をエサとしか思ってねぇんだからよ」
違う、違う。
一人だけ、一人だけ信用できる人がいる。
あの人だけは、信じられる気がする。
―――俺は、ユイちゃんの血は吸わない
「……ヨウ、さん」
「……今、なんつった?ヨウだって?」
呟いた言葉にアヤトくんの声が低くなった。
怒ってる声が、私の耳に入った。
「お前、ヨウに会って気でも触れたのか?
あんな奴なんか見んじゃねぇよ。あんな奴の名前、オレ様の前で言うんじゃねぇ!」
「きゃあ!」
顔のすぐ横に拳を叩きつけられた。
当たらなかったけど、私の恐怖を生み出すのに十分だった。
心臓が嫌なくらいどくどくと脈打つ。
「あんな奴、兄弟なんて思いたくもねぇ。あんな奴、大っ嫌いだ」
二人の間に、何があったのかなんて分かんない?
きっと私が知らない、踏み込んではいけない部分だと思う。
けど、こんな苦しそうな顔するアヤトくんなんて見たこともなかった。
「ムカつく。なんで帰ってくんだよ。帰ってくんなってんだ。
ぶっ殺してやる。散々オレで遊びやがって……ヨウの奴、許さねぇ」
「アヤっ……きゃっ!痛い!痛いよアヤトくん!やめてっ!」
私の肩を掴み、無我夢中で私の肌に牙を突き立てた。
さっきまでより酷く、痛みの中にある快感なんて拾えないくらい、痛みの方が遥かに強かった。
痛いって言っても、やめてって言っても、アヤトくんは何も言わなかった。
ただ夢中になって私の首筋に牙を突き立てるだけ。
「はっ、痛いのは当たり前だろ?痛くしてやってんだからよ。
ほら、もっと泣け。叫べ。もっとオレ様を興奮させろよ。
そうすれば、痛みなんて忘れるくらい、ヨくしてやる」
『アヤト。何してるの?』
ふいに聞こえた優しい声。
痛みに溢れた涙で視界はぼやけててはっきりとは見えなかったけど、すぐに分かった。
部屋の扉に寄りかかるように、ヨウさんが立っていた。
アヤトくんの腕が微かに震えていのが視界の端に見えた。
「何しにきたんだよ。こいつはオレ様のだ。てめぇなんかに渡さねぇ」
『渡す渡さないの話じゃないだろ。ユイちゃんは誰のものでもない。
選ぶ権利はユイちゃんにある。アヤト、ユイちゃんの上から退きな』
ヨウさんは入口から動かずそう言った。
あぁ、これではっきりと分かった。
ヨウさんは、ちゃんと味方だ。
あの言葉に、嘘偽りはなかった。
「嫌だね。そう言って偽善者ぶってこいつの血を吸おうって根端なんだろ?
んなことさせるかよ。こんな極上な血を持つ女、誰がてめぇみてぇな奴に渡すか!」
『退け』
その一言が、凄く冷たかった。私ですら、その言葉に恐怖を感じた。
ギシッとベットが音を立てたかと思うと、アヤトくんがヨウさんを見つめたままゆっくり私の上から退いた。
ヨウさんがそれを確認すると、ゆっくり私に近づき首筋を見た。
傷痕を見て、凄く悲しそうな表情をしたけど、喉が上下に動いたのが分かった。
「ヨウ、さ……」
『……ごめんね。痛かったよね?俺がもう少し早く来てたらよかった』
「大丈夫、です。ヨウさんのせいじゃ、ないですから。来てくれただけで、嬉しいです」
喉が上下したとき、少し警戒をしてしまった。
けど、そんな不安はすぐに飛んでいく。
私の傷痕に優しく触れ、切なく謝ったヨウさんの言葉に、私はどれだけ救われたことだろう。
その言葉は本当に心の底から謝っている声だった。
『ユイちゃん、俺の部屋に行ってな?場所は分かるね?』
「……はい」
『大丈夫。誰も俺の部屋には入らないから。俺が戻るまでゆっくりしてていいよ』
頭を撫でられ、私は大人しく部屋から出て行くことにした。
服を整えながらヨウさんの部屋へ向かった。
ヨウさんとアヤトくんを二人にして残しちゃったけど、大丈夫かな?
あの二人、シュウさんとレイジさんみたいに、なにか深い溝がある気がする。
「ここ、だよね?隣、シュウさんの部屋だし……えっと、お邪魔します」
言われた通りヨウさんの部屋にそっと入った。
入った途端、甘い香りが鼻を擽る。
部屋は、シュウさんの部屋とほぼ同じような感じだった。
やっぱり双子だから、真似したくなるのかな?
でも、シュウさんの部屋と違って白い薔薇の花が花瓶にささっていた。
「あ、これ庭にある?ふふっ、いい香り。ヨウさん、薔薇が好きなのかな?」
花瓶に近づき、匂いを嗅ぐととてもいい香りがした。
逆巻家のお屋敷には薔薇が咲いてる。とても綺麗に咲いていて、月明かりに照らされると輝いて見える。
薔薇の匂いを楽しんでると、不思議と嫌な事を忘れられる気がする。
でも、首に残ったこの牙の痕は、中々消えない。
ドサッとヨウさんのベットに倒れこんだ。
悪いって思ったけど、血をアヤトくんに吸われすぎて、貧血が起こっていた。
「少し、寝てもいいかな?ヨウさんには起きてから……謝、ろう……」
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