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白夜叉/独白
2020/12/09 22:20 悲しい。辛い。
わからない。気がつけば身体中が熱くなっていた。目頭が熱を持つ。内側から何かがせり上がってくるのを感じた。悲しい、辛い、そんなもの忘れてしまった。感情などとうに落としてきてしまった。あの人を、失ったときには。何もかもを置いてきてしまった。仲間たちの死んでゆく姿を見ていることしかできなかった、あのときに。
苦しい。苦しい。
会いたい。誰に。わからない。
帰りたい。どこに。
自分が自分ではなくなるようだった。四肢がばらばらになるように、自分の意思では抑えられない。霞んだ視界に映った震える自らの手。歪む。眼球を覆う膜。
謝りたい。唐突にそう思った。誰に。わからないけれど、今まで自分がしてきたことを詫びて、どうしようもなく叱ってほしいと思った。
白夜叉は、死んだよ。
そう笑った天人の言葉に、ひどく救われた気がしたのだ。
ああ、俺は。ずっと何がしたかったのか思い出せないでいた。
今はただ、帰りたい。失うことを知らなかった、あのころに。
わからない。気がつけば身体中が熱くなっていた。目頭が熱を持つ。内側から何かがせり上がってくるのを感じた。悲しい、辛い、そんなもの忘れてしまった。感情などとうに落としてきてしまった。あの人を、失ったときには。何もかもを置いてきてしまった。仲間たちの死んでゆく姿を見ていることしかできなかった、あのときに。
苦しい。苦しい。
会いたい。誰に。わからない。
帰りたい。どこに。
自分が自分ではなくなるようだった。四肢がばらばらになるように、自分の意思では抑えられない。霞んだ視界に映った震える自らの手。歪む。眼球を覆う膜。
謝りたい。唐突にそう思った。誰に。わからないけれど、今まで自分がしてきたことを詫びて、どうしようもなく叱ってほしいと思った。
白夜叉は、死んだよ。
そう笑った天人の言葉に、ひどく救われた気がしたのだ。
ああ、俺は。ずっと何がしたかったのか思い出せないでいた。
今はただ、帰りたい。失うことを知らなかった、あのころに。