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高杉と銀時/第七百三訓

2020/11/21 23:15
 ぽたり、ぽたり。頬にしみる。止まりかけの心臓では、前言撤回もできそうにない。聴覚だけが未だ微かに機能している。咽ぶ。喉奥で堪える音。潰れた双眼の裏側で、あの日の情景がぶり返す。ぽたぽた、ぽたり。そう、血ではなく、これは。見えないお前の泣き面はきっと、あの時と変わらず綺麗なんだろう。先に地獄で待ってらァ、と独り言ちる。溢れて止まない滴の生ぬるさも、もはやわからない。何が上等だ。シケた面、してんじゃねェか。
 さいごまで、詰めが甘ェよ。────銀時。

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