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冬/銀時
2021/02/04 20:40 吹きすさぶ北風をもろに受けて、ぱちぱちと目を瞬かせた。しみる。鼻水が止まらない。首元が寂しい。通りがかったコンビニの光すら目にしみる気がする。そのまま半ば避難するように駆け込んだ。テレレン、テレレーン。よく聞く入店音。無意識に手を擦り合わせた。あ〜、あったけェ、と思うのと同時に、電気代もったいねえな、とも思う。けれどもこのもったいなさはこういうときに役に立つ。いらっしゃいませえー。店員のやる気がない。それとなく向けた目線の先の、中華まん10%OFFの立て看板。うまそう。肉まん、いや、やっぱりあんまんかなァ。肉まんが二つと、あと……あれ待て俺、金持ってねえや。パのつくチンコにすべて吸い取られてしまった。出掛けに巻いていたマフラーがないのもそのせい。さすがに服はダメだった。外は寒いし懐も寒い、家に帰れば二人の目が寒い。ならなおさら機嫌取りに肉まんを、あ、俺金ないんだった。自動ドアが開いた瞬間、刺されるような感覚に震え上がる。ありがとうございましたあー。店員の目すら寒く感じる。ああもう、散々だ、早く帰って定春モフモフしてぇなこんちくしょう。