LOVE is here
『LOVE is here』
陽射しの眩しさに目を覚ます。
うっかり閉じ忘れたカーテンからは都会の空が見えた。昨日の雨が嘘みたいな晴天だった。
梅雨の合間の貴重な晴れだ。何をしようか。洗濯物をまとめて干したい。靴も洗ってしまおうか。
そう思うけど、降谷はベッドが起き出せなかった。
そうっと音立たないように、隣で眠っている男の顔を眺める。
そこでは、作り物みたいな綺麗な顔をして、恋人が眠っている。まだ付き合い始めてから一ヶ月。何度もこの顔に慣れなくてびっくりしたものだ。
「ふふ」
皮膚が薄いから、こめかみの血管が青く透けて見える。興奮してると、それが浮き出て、ゾクゾクするくらい色っぽいのだ。癖のある髪も、濃くはないけど長い睫毛も、薄い唇も、全部が艶っぽくて、降谷の胸を震わせる。
こんなハンサムが僕の恋人なのか。
降谷はいつものように不思議な気持ちで、寝顔を見つめるのだ。
別に、劇的な展開で恋人になったわけではない。友人でもない二人が、歩み寄ろうとした矢先に、事故みたいに出来上がっただけ。男と、しかも赤井秀一と付き合うなんて、エキサイティングだなと、降谷は軽く考えていた。それが、まさか、こんなにも好きになるなんて。
赤井はとにかく愛情深い男だった。降谷に惜しみなく愛をくれる。言葉も態度も、時間も。それは、愛に飢えてきた降谷にとっては、急に世界が変わるような出来事だった。赤井は、この陽射しみたいな人だ。降谷に余す事なく降り注ぐ愛その物だ。
「色っぽい人」
こっそり呟いて、飽きる事なく見つめ続けた。
「…穴が空きそうだ」
寝顔が呟く。
「起きてた?」
「さっき起きた」
赤井が目を開ける。青白い瞼も素敵だが、あらわれた濃い緑の瞳はもっと綺麗だ。
「おはよう」
赤井は手を伸ばし、降谷の髪を撫でた。
「おはようございます」
「俺の寝顔を見ながら、何を企んでたのかな?」
「別に何も」
「嘘だな。きっと、君は、こう考えた。今日はいい天気だから、二人で公園に行って帰りにパン屋に寄りたい」
赤井は真面目な顔をしてそんな事を言った。
「ふふ。そうかも」
「ほら、当たりだ」
にこりと笑う。この笑顔は降谷専用。他の誰にも、こんな顔を見せないのを知ってる。
降谷は赤井の胸にもたれ掛かり、その高くて格好いい鼻を指でなぞる。
「それだけじゃないかもしれませんけど」
「ん?まさか、何か悪い事を?」
「おはようのキスしてくれないのは、なんでかなって思ってる」
「なるほど、それは、俺が悪い」
赤井は降谷に覆い被さり、キスをした。触れるだけのキスだ。
降谷は物足りなくて、男の腰を脚で挟んで抱き寄せた。
「こらっ、悪戯っ子め」
「ふふ」
もう一度キス。今度は、もう少し際どい感じだった。
「おっと、このままじゃ、ベッドから出られなくなるぞ」
「別に、いいのに」
「駄目だ。明日は雨だ。そうしたら、君は、酷くがっかりして、昨日セックスに溺れずに洗濯をすればよかったと後悔する」
「あはは、確かに」
先に赤井がベッドから起きが上がった。
「さぁ、洗濯機を回すから、脱いで」
「僕、裸です」
「そうだった。俺が脱がせた」
それから、小難しい顔で冗談を言うのだ。
二人とも素っ裸だ。赤井は床に落ちていたスウェットを履いた。
「おっと、君はまだ裸でいてくれ」
クロゼットを開けた降谷のことは止めた。
「なんで?」
「後で一緒にシャワーしよう。昨日、散々に抱いたから疲れてるだろ?洗ってあげよう」
「せめて、パンツ」
「ダメダメ。君は裸が一番可愛いんだ。恋人の特権として、あと三分は眺めたいね」
また、あのジョークだ。
「貴方、たまに、変な冗談言いますよね」
「いや、冗談でもない」
「ふふ」
降谷は赤井の冗談が好きだ。特別な仲の相手にしか言わないと知ってるから。
「僕ね、ずっと一人で生きてきました」
「うん」
赤井はきっちりと測って、洗剤を洗濯機に入れる。
「それで平気だった」
「君は完璧だ。当然だよ」
柔軟剤も目盛りぴったりだ。それも、洗濯機に入る。それから、スタートボタンを押す。グラングランと洗濯機が回り出した。
「でもね。今、ほんの少し前のその自分に戻れそうにない」
降谷は生真面目に洗濯機を見張る背中に抱きついた。
「貴方無しの人生なんて、想像できない」
「うん」
腰に回した手に、赤井の手が重なった。
「貴方は、僕の太陽。こんな台詞、一生言わないと思ってたのに」
「俺だって、そんなこと言われたの初めてだよ」
赤井は言った。
「君だけだ。こんな俺を愛情深い男にしてくれる」
それから、振り返り、裸の降谷を抱きしめた。
「愛は、俺の中には無いんだよ。それは、君との間にだけ存在する」
素敵な緑の目が、降谷をまっすぐに見つめていた。
「君を愛さなければ、俺はつまらない男なんだ」
頬を擦り合わせて、降谷はまるでダンスするみたいに揺らされた。足が床から浮く。このまま飛んでいってしまいそうな心地になって、降谷はうっとりと赤井の首に腕を回す。洗濯機は回り続ける。そのリズムに合わせて、赤井と降谷はゆらゆらと揺れ続けた。
あぁ、今日も、二人の世界は、素晴らしい!
陽射しの眩しさに目を覚ます。
うっかり閉じ忘れたカーテンからは都会の空が見えた。昨日の雨が嘘みたいな晴天だった。
梅雨の合間の貴重な晴れだ。何をしようか。洗濯物をまとめて干したい。靴も洗ってしまおうか。
そう思うけど、降谷はベッドが起き出せなかった。
そうっと音立たないように、隣で眠っている男の顔を眺める。
そこでは、作り物みたいな綺麗な顔をして、恋人が眠っている。まだ付き合い始めてから一ヶ月。何度もこの顔に慣れなくてびっくりしたものだ。
「ふふ」
皮膚が薄いから、こめかみの血管が青く透けて見える。興奮してると、それが浮き出て、ゾクゾクするくらい色っぽいのだ。癖のある髪も、濃くはないけど長い睫毛も、薄い唇も、全部が艶っぽくて、降谷の胸を震わせる。
こんなハンサムが僕の恋人なのか。
降谷はいつものように不思議な気持ちで、寝顔を見つめるのだ。
別に、劇的な展開で恋人になったわけではない。友人でもない二人が、歩み寄ろうとした矢先に、事故みたいに出来上がっただけ。男と、しかも赤井秀一と付き合うなんて、エキサイティングだなと、降谷は軽く考えていた。それが、まさか、こんなにも好きになるなんて。
赤井はとにかく愛情深い男だった。降谷に惜しみなく愛をくれる。言葉も態度も、時間も。それは、愛に飢えてきた降谷にとっては、急に世界が変わるような出来事だった。赤井は、この陽射しみたいな人だ。降谷に余す事なく降り注ぐ愛その物だ。
「色っぽい人」
こっそり呟いて、飽きる事なく見つめ続けた。
「…穴が空きそうだ」
寝顔が呟く。
「起きてた?」
「さっき起きた」
赤井が目を開ける。青白い瞼も素敵だが、あらわれた濃い緑の瞳はもっと綺麗だ。
「おはよう」
赤井は手を伸ばし、降谷の髪を撫でた。
「おはようございます」
「俺の寝顔を見ながら、何を企んでたのかな?」
「別に何も」
「嘘だな。きっと、君は、こう考えた。今日はいい天気だから、二人で公園に行って帰りにパン屋に寄りたい」
赤井は真面目な顔をしてそんな事を言った。
「ふふ。そうかも」
「ほら、当たりだ」
にこりと笑う。この笑顔は降谷専用。他の誰にも、こんな顔を見せないのを知ってる。
降谷は赤井の胸にもたれ掛かり、その高くて格好いい鼻を指でなぞる。
「それだけじゃないかもしれませんけど」
「ん?まさか、何か悪い事を?」
「おはようのキスしてくれないのは、なんでかなって思ってる」
「なるほど、それは、俺が悪い」
赤井は降谷に覆い被さり、キスをした。触れるだけのキスだ。
降谷は物足りなくて、男の腰を脚で挟んで抱き寄せた。
「こらっ、悪戯っ子め」
「ふふ」
もう一度キス。今度は、もう少し際どい感じだった。
「おっと、このままじゃ、ベッドから出られなくなるぞ」
「別に、いいのに」
「駄目だ。明日は雨だ。そうしたら、君は、酷くがっかりして、昨日セックスに溺れずに洗濯をすればよかったと後悔する」
「あはは、確かに」
先に赤井がベッドから起きが上がった。
「さぁ、洗濯機を回すから、脱いで」
「僕、裸です」
「そうだった。俺が脱がせた」
それから、小難しい顔で冗談を言うのだ。
二人とも素っ裸だ。赤井は床に落ちていたスウェットを履いた。
「おっと、君はまだ裸でいてくれ」
クロゼットを開けた降谷のことは止めた。
「なんで?」
「後で一緒にシャワーしよう。昨日、散々に抱いたから疲れてるだろ?洗ってあげよう」
「せめて、パンツ」
「ダメダメ。君は裸が一番可愛いんだ。恋人の特権として、あと三分は眺めたいね」
また、あのジョークだ。
「貴方、たまに、変な冗談言いますよね」
「いや、冗談でもない」
「ふふ」
降谷は赤井の冗談が好きだ。特別な仲の相手にしか言わないと知ってるから。
「僕ね、ずっと一人で生きてきました」
「うん」
赤井はきっちりと測って、洗剤を洗濯機に入れる。
「それで平気だった」
「君は完璧だ。当然だよ」
柔軟剤も目盛りぴったりだ。それも、洗濯機に入る。それから、スタートボタンを押す。グラングランと洗濯機が回り出した。
「でもね。今、ほんの少し前のその自分に戻れそうにない」
降谷は生真面目に洗濯機を見張る背中に抱きついた。
「貴方無しの人生なんて、想像できない」
「うん」
腰に回した手に、赤井の手が重なった。
「貴方は、僕の太陽。こんな台詞、一生言わないと思ってたのに」
「俺だって、そんなこと言われたの初めてだよ」
赤井は言った。
「君だけだ。こんな俺を愛情深い男にしてくれる」
それから、振り返り、裸の降谷を抱きしめた。
「愛は、俺の中には無いんだよ。それは、君との間にだけ存在する」
素敵な緑の目が、降谷をまっすぐに見つめていた。
「君を愛さなければ、俺はつまらない男なんだ」
頬を擦り合わせて、降谷はまるでダンスするみたいに揺らされた。足が床から浮く。このまま飛んでいってしまいそうな心地になって、降谷はうっとりと赤井の首に腕を回す。洗濯機は回り続ける。そのリズムに合わせて、赤井と降谷はゆらゆらと揺れ続けた。
あぁ、今日も、二人の世界は、素晴らしい!
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