DEAR MY SWEET FOOL
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手を繋いだまま暫く歩いていると、美猫の視線がそわそわと落ち着きがないものに変わった。
視線の先を目で追えば、その先にあったのは有名ブランドのジュエリーショップ。
「行きたいの?」
「えっ、⋯⋯うぅん、いいよ」
美猫はそう言うが、行きたがっているのは明らかだ。
「行こうか」
「いいの?つまらなくない?」
「大丈夫だよ」
「やった!ありがと、無一郎」
ぎゅっと胸が締め付けられるほど、とびきり可愛らしい弾けるような笑顔で美猫が言った。
先程のこともある。無一郎は複雑な胸の内を押し隠すように微笑で返し、美猫の手を握る手に少しだけ力を込めた。
ジュエリーショップの店内は、ショッピングモールのテナント店らしくこじんまりとしているが、内装は立派だった。
清潔感のある白を基調としたモダンな雰囲気の店内。適度な間隔をあけてショーケースが並んでいる。
天井からぶら下がる黄みがかったペンダントライトが店内を淡く照らし、落ち着いた雰囲気を演出している。
「わぁ、可愛い」
その時、美猫が一つのアクセサリーに目を留めた。
それはリボンモチーフのプチネックレス。無一郎はすぐさま店員に試着を申し出た。
店員は上品な笑顔で「畏まりました」と言って、ショーケースからネックレスを取り出すと、白いジュエリートレイに置いた。
ネックレスを前に美猫が目を輝かせる。
「つけてあげる」
無一郎はクスッと小さく微笑って背後に回り、ネックレスを美猫につけてやった。
「可愛い⋯」
鏡を覗き込んで呟く美猫。思わず口に出てしまったといった感じが微笑ましい。
「とても似合う」
無一郎がそう言うと、
「ほんと?有り難う」
美猫は嬉しそうにほんのりとはにかんだ。
「それが気に入ったの?」
「うん」
「買ってあげる」
「えっ、いいよ!自分で買う!」
「腕時計とコートのお礼だよ」
「でも、これ高いよ?」
ホワイトゴールドのネックレスは金の純度の高いK18。ペンダントトップのリボンには小さいがピンクダイヤモンドがあしらわれており、値の張る代物だった。
だが、無一郎にとっては何の問題もない。
「少し早いけど、クリスマスプレゼント」
戸惑う美猫の肩に手を置き、少しだけ身を屈めて、鏡越しに目を合わせる。
その耳元へ唇を寄せ、低く囁いた。
「受け取ってくれるよね?」
美猫は白い頬を桃色に火照らせて、鏡越しに此方を軽く睨む。
「心臓に悪いよ。いじわる」
そうして続く言葉。
「恋人同士じゃないんだからね」
つんとそっぽを向く美猫の姿にチクリと小さく痛む胸中を押し隠して、無一郎は微笑ってみせた。
「はいはい、お姫様」
だが、暫くして。
「⋯でも、有り難う。無一郎」
白い頬を仄かに染めて、はにかんだ笑顔でそう言う彼女は、今すぐ抱きしめたいくらい愛らしかった。
