DEAR MY SWEET FOOL
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大胆に胸元をチラ見せした淡いくすみピンクのレイヤード風ニットトップスに、白のティアードミニスカート。
甘さに全振りしたそのコーディネートを、辛口の黒いダウンジャケットで程よく引き締めている。
そこにチャンキーヒールのロングブーツを合わせた姿。
当然、化粧も施している。ごくナチュラルな薄化粧だが、彼女の顔立ちにはそれだけでも充分に映える。
「えへへ。デートだから頑張っちゃった」
そう言って無邪気に笑う姿は、胸が締め付けられるほどに可愛らしく、無一郎は眩しそうに目を細めた。
「どぉ?似合う?」
「似合ってるよ」
「よかったぁ。無一郎もその服似合ってる。かっこいいよ」
「それはどうも」
涼しい顔で答える無一郎だが、好きな子に褒められて内心は悪い気はしない。
そんな無一郎の服装は、トラディショナルなジャケットをヘンリーネックシャツで程よく着崩し、ダークカラーのジーンズを合わせた上品なカジュアルスタイルだ。
偶然だが美猫のコーディネートとの相性もよかった。
「私ショッピングしたい。ショッピングモール行こうよぉ。無一郎の欲しいもの何でも買ってあげる!」
「普通逆でしょ」
「映画もみたいなー」
「話を聞きなよ」
「ね、行こ行こっ。早く早くぅ」
「はいはい、お姫様」
無一郎の手を引っ張っていた美猫が、無一郎が歩き出した途端、上機嫌に腕に纏わりついてくる。
⋯⋯まるで恋人のように。
此方ばかりがドキドキして、馬鹿みたいだ。
無一郎はスッと目を細めて、冷めた声音で指摘した。
「胸が腕にあたってるんだけど」
ちょっとした意趣返しのつもりで言ったのだが、美猫は動じないどころか、
「こういうの嫌い?」
小悪魔的に微笑って上目遣いで見上げてくる。
「どこでそんなの覚えたの」
学生時代の美猫ならば、真っ赤になって即座に離れていただろう。
そうして“無一郎のバカ!”とか“エッチ!”とか罵倒していたはずだ。
厳しい面持ちで問いただす無一郎にしかし美猫は何も答えず、早く行こ、と待ちきれないとばかりに悔しいくらい愛らしさいっぱいの笑顔で押し切るのだった。
無一郎が運転する車で訪れたのは、美猫の希望通り映画館の併設された巨大なショッピングモール。
まずは立体駐車場へ車をとめて、エレベーターで目的の階へ。
真っ先にやって来たのはシネマコンプレックスだった。
黄みがかった薄明かりに照らされたロビーで、映画を選ぶ。
「待つのイヤだし公開時間が一番早いの選ぼうよ」
「観たいのがあったんじゃないの?」
「特にないよ?何でもいいから無一郎と一緒に映画がみたかっただけ」
「何それ」
またそんな思わせぶりな事を言う。とうの美猫は無一郎の心情など知る由もなく、るんるんで自動発券機へ向かっている。
何だか無性に悔しくなって、自分のぶんは自分でチケットを購入するつもりだったらしい美猫の邪魔をして、無理やり二人分払った。
「あっ、いいのに⋯⋯」
罰が悪そうな美猫にチケットを渡しながら。
「何か言うことは?」
「あ、有り難う⋯無一郎」
「いいよ」
無一郎が微笑うと、少しだけぎこちなく美猫も微笑った。
傍目には自分達は恋人同士のように映っているだろうか。
そうだといいな⋯⋯。切ない想いが小さな棘のようにチクリと胸を刺す。
だが、決して表には出さない。小さな意地を抱えて、無一郎はシアターへ向かい美猫の手を引いた。
