DEAR MY SWEET FOOL
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思いがけず深夜の宅飲みをすることとなって、無一郎はまずキッチンへと向かった。
無一郎の家にある酒類といえばワイン、シャンパン、ウイスキーぐらいだが、子供舌の美猫が喜ぶとも思えない。
「コンビニに買いに行く?」
「大丈夫。ここに来る前に買ってきたから」
美猫は上機嫌ににこにこしながら持参していたキャメルカラーのトランク型キャリーケースを引っ張り寄せた。
トランクの上に固定されていたナイロンバッグから、商品がぱんぱんに詰まったコンビニの袋を取り出して、缶チューハイをガラス製のローテーブルの上に並べていく。
「ワインやシャンパンも嫌いじゃないけど、甘いお酒のほうが好きなの」
「やっぱりね」
「おつまみもちゃんと買ってきたよ。唐揚げとぉ、イカリングフライとぉ、枝豆ぇー」
「深夜にそんなの食べたら太るよ」
後で体重が増えたと落ち込む姿がありありと浮かぶ。
「知らないの?枝豆は野菜だし、揚げ物は高温調理してるからカロリーが溶け出して、実質ゼロカロリーなんだよぉ」
「そんな訳ないでしょ」
「聞こえない、聞こえなぁい。んー、唐揚げ美味しいぃ」
唐揚げを頬張って、ご満悦の美猫。彼女は昔からこうで、体重を気にしている割には好きなものを好きなだけ食べておいて、後で体重が増えたと嘆くのだ。
馬鹿だなと呆れる反面、そんなところが微笑ましくもあって。
そもそも彼女が体重を気にする理由は無一郎の双子の兄、有一郎にある。
有一郎の歴代の恋人(といってもそんなに多くはないが)が、皆スラリとした美人系だからである。
実にわかりやすいその好みは、明らかに美猫とは真逆の路線をいくもので、美猫はいつも嘆くのだ。
⋯⋯自分なら、気にしないのに。
美猫がいくら太ろうが(本人が聞いたら、やめてよ!と怒りそうだが)、美猫が幸せで、笑っているなら、いくらでも受け止めてやれるのに。
「無一郎、何してるの?一緒に呑もうよぅ。早く早くぅ」
「今つまみを作ってるから」
「えー、無一郎料理できるの?すごいね」
拗ねたように口を尖らせていたかと思えば、キッチンへと寄ってきて関心したようにきらきらと澄んだ瞳を向けてくる。
感情のまま素直にころころと変わる表情は、見ていて飽きない。
いつまでも子供みたいな純粋さは、相変わらずのようだ。
「おお、卵の片手割りだ。かっこいい」
「いちいち実況しないで。恥ずかしいから」
そうは言いつつ好きな子に褒められると悪い気はしない。
無一郎の動作一つ一つ、凄いとか格好良いとか無邪気にはしゃぐ姿が、可愛らしくも愛おしい。
「それにしても無一郎背が伸びたね。中学生の時は同じくらいだったのに、高校生くらいから一気に⋯⋯」
「そういう美猫はあの頃とほとんど変わらないね」
「失礼しちゃうな。私だって変わったもん。お化粧だって覚えたんだから」
確かにごくナチュラルな薄化粧は彼女の雰囲気に合っている。
あの頃よりは少しだけ大人びて、綺麗になった。
幼げな言動のせいで、やはりどうしても“可愛い”のほうが先立つのだけれど。
