比翼の鳥は碧に恋う
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自室で手紙を書いていた。
泣かないように、平静を保って筆を進める。
「何してるの?」
背中から心臓を鷲掴みにされたような胸苦しさを感じて、かすみは背後を振り返った。
途中でスッと黒いものが視界を横切る。
彼の腕のようだった。
気が付けば、背後に無一郎が立っていて、彼は手にした手紙を冷めた瞳で見下ろしていた。
「無一郎……」
「何これ。ここを出て行く気?」
「……うん……」
気まずい空気に瞳を逸しながら頷いた、次の瞬間だった。
視界がぐるりと反転した。
「…………え?」
気が付けば、天井を遮るような形で、無一郎がすぐ近くでかすみを見下ろしていた。
「行かせない。どこにも」
いつもよりもずっと低い声音が、薄暗い部屋へとやけに響いた。