シュガーキャットの憂鬱
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定食屋で朝食を済ませた音心達は、百貨店へ。
蜜璃は真っ白で華やかなマーメイドスカートのワンピースに、帽子とアンクルストラップのパンプスを合わせ、レースのグローブをした姿。
まるで異国のお姫様のようで、音心はうっとりと目を細めた。
そんな音心は、襟元に大きなリボンの付いたグレンチェックのカントリードレス、淡い色味のワンピース、果てはミニ丈のスカートに至るまで着せ替え人形状態で。
「可愛い!どれも似合ってるわ!これ全部下さい!」
「畏まりました」
「ええっ!?」
「お誕生日の贈り物よ!遠慮しないで!」
「そんな……」
“贈り物”はカントリードレス、ワンピース、ブラウスにスカート。
果ては洋服に合わせたデザインの帽子やカチューシャ、パンプスやグローブに至るまで。
申し訳なさでいっぱいになった音心は眉を下げる。
すると途端に蜜璃の表情も曇った。
「どうしてそんな顔をするの?迷惑だったかしら?」
「迷惑だなんて、そんな!」
「じゃあ、どうして……」
「こんなにたくさん……申し訳なくて」
きょとんと一拍間を置いて、キュンとしたらしい蜜璃の顔に笑顔が拡がる。
「申し訳なく思う必要なんてないわ。お誕生日だもの!」
蜜璃はご機嫌な鼻歌を歌いながら、再び音心の手を引いた。
夕刻は喫茶店でお茶をした。
そこは洒落た雰囲気の二階建て西欧建築の喫茶店で、中は開放的で落ち着いた空間となっていた。
二階のスペースは意外とこぢんまりとしているらしく、一階の半分は吹き抜け。
ダークブラウンの床や梁、壁は白く、シャンデリアの温かみのある光が全てを調和させて居心地の良さを感じさせる。
そうして音心達は二階の席へと案内されたのだった。
二階は一階に比べ人が疎らで、特に音心達の通された席の周囲は
時間帯のせいもあるだろう。
話を切り出すにはいい機会だ。音心が口を開いた次の瞬間、
「どうぞ、音心ちゃん」
喫茶店のメニュー表を手渡された。
満面の笑顔が可愛らしくて、結局音心は何も言えず、閉口した。
「何にしようかな〜?」
お互い顔を寄せて、メニュー表を覗き込む。
思わぬ至近距離に、ドキンと心臓が不穏な音を立てた。
しかし蜜璃は全く気付かぬ様子で、
「音心ちゃんは何する?」
天真爛漫な笑顔を向けてくる。
胸が苦しくなって、音心はそっと俯いた。
「私はショートケーキを」
「ショートケーキね。分かったわ。私はーー」
それからは怒涛のように蜜璃の席には、軽食やデザートが運ばれて来た。
空になった食器が山のように積み重なる。
時々給仕の女性が下げてくれるが、まるで追いつかないようだった。
今朝の定食屋でもそうたったが、本当によく食べる女性だ。