シュガーキャットの憂鬱
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本日の夕食のメニューは、栗ごはん、花形のお麩を浮かべた茸のお吸物、掻き揚げや鱚、海老、南瓜、茄子など天ぷらが各種(山盛り)、筑前煮(山盛り)、豚の角煮(山盛り)、ほうれん草の胡麻和え、だし巻き玉子と漬物が各種といった具合だ。
大きな丼ぶりに山盛りの栗ごはんを頬張る蜜璃。
栗の甘味と程よい塩味、黒胡麻の香ばしさが調和して口内に広がった。
次いで天ぷら。衣は薄くさっくりとして中はしっとりとした絶妙な食感で、食材の良さを見事に引き出している。
角煮は肉が柔らかくほぐれて、甘辛い味付けが何とも美味。
筑前煮は口に入れた瞬間にコクと旨味が押し寄せた。
お吸物は茸の香りが鼻に抜け、優しい味わいが温かく染み渡る。
蜜璃は可愛らしく表情を緩めながら、美味しい、美味しいと夢中で全てを平らげた。
「とっても美味しかったわ!有り難う、音心ちゃん!」
「どういたしまして。……よかったです、お口に合って」
食事が終わった頃には既に深夜が近かった。
何せ量が量なのである。蜜璃はその体格に見合わず、大喰らいなのだ。
準備に時間が掛かれば、食事を終えるのもまた時間が掛かる。
「もう遅いですし、今夜は泊まっていって下さい」
「そんな……。悪いわ」
「大丈夫です」
「そうかしら。じゃあ、泊まっちゃおうかな」
「明日の朝ごはん、楽しみなさってて下さい。頑張りますから」
「えーー!ほんとぉ!?」
「はい」
頬を薔薇色に染めて無邪気にはしゃぐ蜜璃。
その様子を見て、音心は優しく笑ってくれた。
翌朝、身支度を整えた蜜璃が食卓に顔を出すと、焼き立てのパンの香ばしい香りと、ほんのりと甘い香りが漂っていた。
「おはよう、音心ちゃん。とってもいい匂いね」
「おはようございます、恋柱様」
「何かしら……とっても甘い匂いがするわ」
「この前余った食パンを、卵と牛乳と黒砂糖を混ぜた卵液につけて焼いてみたんです。そうしたら美味しかったので……お口に合うといいんですけど」
「美味しそう。頂くわね」
「はい」
黄色くこんがりと焼けた厚切りの食パンを切り分けて、一口頬張ると、その美味しさに、蜜璃は瞳を見開いた。
「音心ちゃん、これとっても美味しいわ!」
「よかったです」
「作り方教えてほしいわ」
「いいですよ」
「今度は私がご馳走するわね」
「え……」
「え?」
「いいんですか?」
「勿論よ!」
こうして後に焼く際にバターを使用したり、蜂蜜を掛けて食すとさらに美味な事を発見する。
フレンチトーストが日本に登場するのは1930年頃の話で、図らずも二人はフレンチトーストを一足先に堪能するのだった。
二人だけの秘密のレシピである。