シュガーキャットの憂鬱
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
甘露寺蜜璃。人懐っこく、とても愛くるしい人。
綺麗な桃色の髪は毛先に掛けて若草色にグラデーションがかっていて、それを三束に編み分けた髪型。
滑らかな白い肌、長い睫毛に縁取られた大きな瞳が印象的な、可愛らしい顔立ちをしている。
そして華奢な身体からは想像もつかないような力強く
ーーだけど。
こんな感情は間違っている。
その夜音心は重たい溜息を漏らして、淡い恋心を心の奥底へ深く沈めた。
最近、甘露寺蜜璃は悩んでいた。
何だか音心に避けられている気がするのだ。
傍にいてほしくて懸命に口説いているのに、逆に遠ざけられてしまっている。
一体何がいけないのだろう。
勿論、ただ傍にいてほしいという理由だけではない。
音心の剣技の才能も十二分に認めている。
その才能も、蜜璃は自身の手で伸ばしてあげたいのだ。
それなのにーー
際限なく落ち込みそうな自分に気が付いて、蜜璃はふるっと強く頭を振った。
落ち込んでばかりじゃいけないわ。
行動を起こさなきゃ!
若草色の瞳に並々ならぬ決意を漲らせて、蜜璃はきゅっと拳を握りしめた。
こぢんまりとした二階建ての日本家屋。そこに音心は住んでいた。
蜜璃は玄関の扉の前へ立つと、思い切ってノックをした。
「はい。どちら様です……か、」
カラリと扉を開いて、音心は驚いたようにその愛らしい瞳を見開いていた。
「恋柱様……」
掠れた声を漏らしてそれ以降は絶句している様子だった。
無理もないだろう。今まで必死に避けていた相手が、自宅へ突撃してきたのだから。
「音心ちゃん、あのねっ、私ーー」
思い切って口を開いた、その時だった。
グーーーー。キュルルルル………。
空腹を告げる腹の音が鳴り響いた。蜜璃の白い頰がみるみるうちに紅潮していく。
はっ……
恥ずかしいわ。
恥ずかしいわ。
此処まで来て私何してるのかしら!
口元を押さえて俯いていると、クスッと音心が軽い笑みを漏らすのが聞こえてきた。
思わず顔を上げると、少し困ったように眉を下げ微笑む姿が目に入る。
降参、と表情が物語っているように思えた。
「お夕飯ご一緒に如何ですか?」
「…………。いいの?」
「はい。これから準備するので、少しお待ちして頂く事にはなりますけど」
「有り難う!!」
蜜璃の顔にぱあっと笑顔が拡がると、音心はしょうがないなぁとばかりにクスクスと優しく笑っていた。