シュガーキャットの憂鬱
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鈴蘭と猫の模様の羽織がとっても可愛いと思ったの。
膝上丈のスカートから伸びるスラリとした脚が綺麗なの。
幼い顔立ちの女の子。
私を一生懸命慕ってくれるその子が可愛くて、可愛くて、可愛くてーー
ずっと傍にいてほしいと思ってしまったの。
最近、神無月音心は悩んでいた。
悩みの元凶である彼女は、遠くから音心の姿を見つけると、無邪気に笑って此方へ駆け寄って来る。
恋柱、甘露寺蜜璃。三束に編み分けた綺麗な髪を揺らして、長い睫毛に縁取られた大きな瞳をキラキラさせて。
「音心ちゃん、音心ちゃーん!」
さすが柱というべきかあんなにあった距離も、一瞬にして縮まって、気がつけば蜜璃が目の前にいた。
「今、帰り?一緒にご飯でもどうかしら?」
溌剌とした表情が眩しくて、思わず俯く。
「音心ちゃん、どうしたの?気分が悪いの?」
すると蜜璃は、途端に心配そうに表情を曇らせて、此方の顔を覗き込んでくる。
思わぬ至近距離にドキンと心臓が跳ねて、音心は慌てて顔を上げた。
「大丈夫です」
「本当に?」
「はい」
「じゃあ、行きましょう」
ごく自然な動作で音心の手を取って歩き出す蜜璃。
この前ね、美味しいお蕎麦屋さんを見つけたの。
きっと音心ちゃんも気に入ると思うわ。
耳に心地良い可愛らしい声音で蜜璃が語るが、極度の緊張からそれは音心の意識の表面を滑り落ちていく。
どうしよう、どきどきが止まらない。
動揺する心を抑え込むのに必死な音心は、ぎゅっと強く瞳を瞑った。
甘露寺蜜璃に音心は淡い憧れを抱いていた。
憧れ。といえば可愛い響きだが、有り体にいうなら音心は蜜璃に恋心を抱いている。
女性同士なのに、こんなのはきっとおかしいのだろうと音心は思う。
だが、どうにも抑えられず、それが音心の悩みの一つだった。
そして悩みはまだある。はっきり言って山積みだ。
「食後はやっぱり桜餅ね!音心ちゃん、お口開けて。食べさせてあげる」
柱である彼女自ら、必要以上に音心に親しく接してくれるのだ。
音心はあくまでいち隊士に過ぎなくて、本来なら口をきく事すら憚られる相手であるはずなのに。
「音心ちゃん……あの事、考えてくれた?」
必ず切り出されるだろうと思っていた話題に、思わず表情が曇る。
そんな音心を見て、蜜璃は少し困ったように眉を下げながら言った。
「私ね、どうしても音心ちゃんに、私の継子になってほしいの」