第七話 蝶屋敷
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くっきりとした二重瞼に収まる淡い碧色の瞳が、じっと此方を見つめてくる。
沙羅はそれを真っ向から受け止めて、
「まだ憶測の段階ですから」
静かに言い置くとその腕から抜け出そうとした。
しかしその瞬間、バンッ!と目の前に手をつかれ、壁が震えた。
身体が完全に彼の腕に囲われる。仕方なく彼に向き合うと、淡い碧色の瞳が相変わらずひたりと此方を見据えている。
そこには“逃さない”という意志を強く感じた。
「君はあの時……奇妙な言い方をしたそうだね」
「何の事でしょうか」
「壁の染みを見つけた時、君は単純に“犯人”ではなく“密室を作った人物”の仕業だと言ったんだよ」
「…………」
「ねぇ、君はーー真島樹里を殺害した人物と密室を作ったった人物は、別だと考えてるんじゃないの?」
まるで外部へ憚らねばならない耳目でもあるかのように。
彼はーー時透無一郎は、重く低い声を投じた。
沙羅はゆっくりとその長い睫毛を伏せて、口元だけで薄く笑った。
パチパチパチ……。その場にそぐわない軽やかな拍手が静まり返った部屋へと響く。
「流石ですね……貴方達 柱の前では迂闊な発言はできない」
「茶化さないで答えなよ」
「まだ決定的な証拠が見つかっていません」
次の瞬間ふと、無一郎が扉の方へと眼を向けた。
「出て来なよ。いるのはわかってるんだ」
扉へ向かって極静かな声を投げ掛けると、程なくして扉が開いた。
気まずそうに現れたのは、真島仁成であった。
そして気まずいのは沙羅も同様で。
何しろ今の体勢が体勢だ。
しかし当の無一郎は退くどころか、腕を降ろす事もせず、
「何か用?僕達は今お取り込み中だよ」
「!?」
思ってもみなかった言いようにギョッとする沙羅を尻目に、無一郎は涼しい顔で仁成を見つめている。
仁成は実に居心地が悪そうに首筋を掻きながら沙羅達から視線を逸らすと、
「すみません」
一言そう言って、踵を返した。
「有須サン……」
「何でしょうか」
「邪魔して悪かったな」
肩越しに振り向いた仁成の頬は、微かに赤みを帯びていた。
仁成は退室し、静かに扉の閉まる音がする。
「彼……何か誤解したみたいだね」
「させたんでしょう。貴方が」
沙羅の声には珍しく、棘が含まれていた。
「何怒ってるの?僕は事実しか言ってないよ」
「取り込み中でいいでしょう。何故わざわざ“お”を付けたんです?」
「深い意味はないよ」
全く