第七話 蝶屋敷
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「何よ……!冷静ぶっちゃって!!人が一人殺されてるのよ!?」
激昂する初夏を仁成が嗜めるが、初夏は聞く耳を持たない。
「私、有須さん嫌いよ!!確かに貴女は優秀な人なのかもしれない、……でも、人として大事な何かが欠けてるわよ!まるで機械仕掛けの
「初夏、やめろ」
「そこまで言うなら、もし犯人が見つからなかったら貴女が警察に自首してよ!!」
「初夏……!」
更に言い募ろうとした初夏を黙らせようと、その身体をグイッと仁成が引っ張り寄せた時、
「それで構いません」
極静かな声で沙羅がそう言い放った。
「沙羅さん!?何を……!」
周囲がざわつく中で、神崎アオイの言葉を制し、沙羅は続けた。
「犯人は必ず私が突き止めます」
向き合う形で真っ向から沙羅を見つめていた初夏は、その表情、声音にぞくりと身を震わせる。
「人を殺めておいて、逃げおおせられると思わない方がいい」
犯人に対し怨嗟を込めて、沙羅は押し殺したワントーン低い声を月夜に投じた。
その夜を境に、蝶屋敷で奇妙な事が起こり始めた。
初夏が樹里の遺体に追い縋り泣いていると、扉の外から軽くノックの音がして。
扉を開くが、廊下には誰の姿もなかった。
訝しげに顔を顰めていると、バチンと何かが弾けるような音が響いて、屋敷中の電気が消えたのだ。
「何っ……?」
戸惑いの声を漏らす初夏だったが、次の瞬間。
ジリリリーン、ジリリリーン……!
真っ暗な廊下に、電話の音が不気味に響き渡る。
ひどく嫌な予感がしたが、音に誘われるように暫く歩き、電話の前で足を止める。
ジリリリーン、ジリリリーン……!
電話は未だけたたましく鳴っている。
震える手を伸ばし、受話器を取って耳に当てるとーー
ザー、ザーと、耳障りな雑音がする。以前お借りした時は、こんな事なかったのに。
眉を顰める初夏の耳に、雑音に混じって微かな声が届いた。
『初ちゃん……』
その声は、紛うことなき樹里のもので。
初夏は眦が裂けそうなほどに瞳を見開いた。
「いやぁぁぁぁっ!!」
「初夏!!」
その場にしゃがみ込む初夏に駆け寄る仁成に、すかさずしがみつき泣きじゃくった。
「何が起きてるんだ……」