第一話 誓約
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時間は少し前に遡る。
初めて推しを実際に目にする瞬間というのは、何度経験してもその感動はひとしおだ。
その点においてだけ、その点においてだけは、閻魔様とミュリエルちゃんには感謝している。
お館様直々の紹介で、時透無一郎と顔を合わせた際、その美しさに驚いたものだ。
キメの細かい白い肌、形の良い眉、スッと通った細い鼻梁、艶めかしい唇、そして……長い睫毛に縁取られた大きな瞳。
中性的で端麗な顔立ちだ。
そしてもう一つ。彼を象徴する長い黒髪は、癖がなく艷やかで、毛先が碧色に透けている。
陽射しを受けてきらきらと煌めくそれは、本当に綺麗だった。
ゆったりとした黒い服に身を包み、だだっ広い和室の一角にちょこんと鎮座している様は可愛すぎて、にやけそうになる顔を引き締めるのに随分と苦労したものだ。
「沙羅を頼んだよ、無一郎」
「御意」
その後解散となり霞柱邸にて沙羅は、
「柱である貴方の時間を私に裂いて頂こうとは思っていません」
自らの正直な思いを伝えた。
「貴方は貴方のやるべき事に、お時間を使って下さい。私は私で鍛練に励みます。霞柱様の名に恥じぬよう成果をあげてみせます」
宵の呼吸はまだ完成ではない。もっと攻撃の精度を上げなければいけない。
そう決意を固めていると、
「なかなか良い心掛けだけど」
静かな声音に思考を遮られた。
耳に心地良い適度に低く柔らかな声音。沙羅はこの声も好きだった。
「師になったからからにはきちんと指導はさせて貰う。今後の鍛練は僕の指示に従って」
澄んだ碧色の瞳が真っ直ぐに此方を捉えていた。
相変わらず覇気のなさそうな雰囲気を纏っているが、その実一切の隙がない事を沙羅は知っている。
「…………。承知致しました」
こうして彼の指導のもと鍛練の日々が幕を開けたのであった。