第七話 蝶屋敷
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それから僅か二日後の夜の出来事だった。
蝶屋敷の裏庭からけたたましい悲鳴が響いて外へ飛び出すと、震えながら泣きじゃくる菊池初夏の姿があった。
「どうしましたか?」
ただならぬ様子に怯えるなほ、すみ、きよを庇うように前へ進み出た胡蝶しのぶが、初夏の背中をそっと撫でる。
「何があった?」
遅れてやって来た仁成も初夏と目線を合わせて冷静に問いかけた。
「一体何事ですか!?」
最後に駆け付けたのはアオイだった。
「……あ、……じゅ……樹里姉……が、」
「樹里が!?」
樹里と聞いて仁成の顔色が変わる。
「樹里姉が……さ……刺された……。そこの窓から見えたの……っ」
「!!」
それを聞いた瞬間全員が、樹里の部屋へと駆け出した。だが。
「嘘だろ……」
「おかしいですね」
扉には厳重に鍵が掛かっていて、びくともしなかったのだ。
「鍵を持って来ました!」
アオイが持って来た鍵でしのぶが急いで扉を開いた。
するとーー
「樹里!!!」
「樹里姉!!!」
月灯りの下、蒼白く染まった肌ーー半ば伏せられた瞳にはまるで生気はなく、呼吸も完全に止まっている。
そしてその背中には、深々と包丁が刺さっていた。
「誰が……誰が、こんな事っ」
泣きながら声を詰まらせる初夏の横で、
「死因は刺殺か……っ」
必死に冷静さを保とうとしている仁成は、拳を固く握り締めている。
ーーそんな中。
「いいえ」
至極冷静な声音が響いた。
全員の視線がそちらへ注がれる。
ーー有須 沙羅の方へと。
「これは刺殺ではありません」
ごく冷静に真島樹里の遺体を観察しながら沙羅は断言した。
「毒殺です」