第七話 蝶屋敷
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栗花落カナヲが彼女と対面したのは、この日が初めてだった。
きらきらと溢れる木漏れ日のように透き通った色をした、ふわふわと緩くウエーブ掛かったボブカット。
キメの細かい白い肌。彫りの深い綺麗な顔立ち。スラリと華奢な体躯。……脚の長さに驚いたものだ。
そしてーー
カナヲが一番気になったのは、その瞳だ。
陽に透かしたラムネ瓶の中に沈むガラス玉のように透き通った蒼い瞳が本当に美しいと思ったのだ。
ともすれば人形や彫刻のように無機質な美しさの彼女だが、
「はじめまして。有須 沙羅です。」
笑うと一気に印象が変わったのだった。
ふわりと微笑む彼女ーーその笑顔は少女のような愛らしさと大人の色香が不思議と調和した何とも魅惑的なものだった。
それは先程までの無機的な印象とのギャップも相俟って、カナヲの心を魅了した。
「カナヲの様子がおかしい?」
「はい」
此方の言をにこにことスルーされるのなら、まだ分かる。
何しろ炭治郎と出会うまでの彼女は、自らの行動の全てをコイントスで決めるような人であるから。
だのにどうした事か、沙羅が話し掛けると彼女は、顔を真っ赤にしてもじもじとし、何か言いたそうに唇をもにょもにょと動かし、最終的にはぴゃっと逃げてしまう。
その一部始終をしのぶに説明すると、彼女は「なるほど」とにこやかにこんな事を言った。
「どうやらカナヲは、貴女とお友達になりたいようですね」
突然。
思ってもみなかった方向へ話をぶん投げられた気がして、沙羅は瞬きを一つ。
「………え?」
思わず間抜けな声が出る。
しのぶは構わず続ける。
「カナヲにとってそれは初めての感情です。上手く表現出来なくて、きっと戸惑っているのでしょう」
「そんな適当な……」
「適当ではありません。カナヲと友達になるのは嫌ですか?」
「いえ、そんな事は」
「では、ゆっくりと見守ってあげて下さいね」
「……はい」
「時に沙羅さん」
「何でしょう」
「ずっと気になっていたのですが、貴女には異国の血が入っているのでしょうか?純粋な日本人ではないように見受けられます」
「…………」
「勿論答えたくなければ、答えなくても結構ですよ」
「いえ、大丈夫です」
沙羅は自らの髪を指先で軽く梳いて。
「私はクオーターです。母方の祖母が北欧の人でした」
「まぁ、そうだったのですね」
しのぶは納得したように一つ頷くと、沙羅を見つめて柔らかく瞳を細めた。
「それにしても時透君といいカナヲといいーー沙羅さん、貴女には止まってしまった心を動かす不思議な“何か”があるのかもしれませんね」
感慨深げにしのぶは言うが、それは買いかぶりだと沙羅はゆっくりと瞳を伏せた。