第七話 蝶屋敷
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蝶屋敷にて胡蝶しのぶが優雅に微笑んだ。
「処置がとても適切でした」
これに対し沙羅は表情を一切変える事なく淡々と答える。
「まず麻痺を起こしている事から即効性の神経毒と、また、血液凝固を阻害し血管系の細胞を破壊する事で出血を起こさせる遅行性の出血毒の二種類の毒が見受けられました。
これらの毒は対処法が正反対です。よって素人が下手に手を出すのは危険だと判断しました。
ですが、遅行性の出血毒は体内に入ると臓器の変性や全身の組織損傷を引き起こし、即効性はありませんが対処が遅いと命に危険があります。
……ですので一刻も早く胡蝶様に対応して頂くのが一番かと思いました」
「よく勉強していますね」
「解毒処置についてもご教授願いたいと思っていたので。毒については予習してきました」
「いいですね。向上心のある方は歓迎しますよ」
にこにこと満足そうなしのぶと殆んど表情のない沙羅の後ろで、青年は漸く彼女の言動に納得していた。
やはり彼女は命の恩人だと。
ただもう一人の少女の方は面白くなさそうにぶすくれていたが。
「有り難うございました。……有須様」
後で聞いた話だが、彼女はどうやら霞柱様の継子らしい。
だからそれ相応の対度を取ったつもりだったが、何故だか彼女は途端に顔を顰めた。
「敬語と様付けは止めて」
「いや、でも……」
「敬語と様付けは止めて」
心底嫌そうに言うのである。
「…………。分かったよ。有須サン」
青年が降参した途端に彼女が嬉しそうに微笑んだ。
変な奴……と内心で呟きつつ満更でもないような心地で。
「自己紹介が遅れたな。俺は真島
「私は有須 沙羅。宜しく」
「ああ。宜しく」
微笑み合いながら握手を交わす二人をむうっと不機嫌そうに睨んでいた初夏に、沙羅が手を差し出すが、
「知らないっ」
プイッとそっぽを向かれてしまうのだった。