第七話 蝶屋敷
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駆けつけた沙羅に鬼が言った。
「随分別嬪が来たじゃねぇか。美味そうだあ」
沙羅は思った。
随分頭が悪そうだ。これは楽勝だ。
思った通りこの鬼はあまり賢くはないようで、簡単な挑発にも見事に引っ掛かってくれた。
そして単調な攻撃を仕掛けて来る。馬鹿の一つ覚えのように。
自慢の腕を振り回すだけの至極単純な攻撃だ。
沙羅は宙で身を捻って躱しながら刀を振るう。
だが、
「馬鹿め!オレの肉体は鋼のように堅い!そんなナマクラじゃ、キズ一つ付かんさ!!」
勝ち誇ったように高らかに嘲笑う鬼に対し、沙羅は冷めた瞳で「あ、そう」とだけ返すと、鬼の懐に着地と同時に。
ーー宵の呼吸 参の型 伽藍の薄闇ーー
次の瞬間、
音もなく刃が鬼の右目を貫いていた。
「……ぁ?……ぎ、ぃあああああああああああ!!!」
鬼が右目を押さえて仰け反った。
狙い通り肉体は鋼の如く硬くとも、やはり粘膜は柔かいようだ。
沙羅は素早く間合いを取ると、すかさず次の技を繰り出した。
ーー宵の呼吸 肆ノ型 弾幕 禍星燎原斬ーー
銀色の剣閃から無数の弾幕が散り、鬼の首を両断した。
そのからくりは、拳銃との合せ技だ。極めて威力の高い弾丸を、素早く、力強く切り刻む事で弾幕を作るのだ。
しかしあまりの早業であるため、傍目には単純に剣閃から弾幕が散っただけのように見える。
現にーー
「何、今の……綺麗」
「何だ今の技……俺達が苦戦した鬼を一瞬で……何者だ、あいつ……」
キン、と刀を鞘へ収め、沙羅は手負いの少女へと近づいた。
青年がハッとした様子で、少女の傷口から血を吸い出そうとする。
沙羅はそれを手で制した。
「止めた方がいい。経口摂取による二次被害の恐れがあります」
「!じゃあ、せめて傷口を縛って毒の巡りを遅らせるとか……っ」
「それも止めた方がいい」
「どうしてよ!」
「後で説明します。彼女は蝶屋敷へ運びます。申し訳ありませんが貴方方は置いていきます。蝶屋敷の場所は私の鎹鴉に案内させますので追って来て下さい」
「はぁ!?人ひとり背負って、私達より速いわけ……って速ッ!?」
既に沙羅はいなかった。
「俺達も行くぞ」
「もー!何なのあの人!!」
「文句言うな。一応、命の恩人だ」
「訳分かんない!!」