第一話 誓約
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まだ夜も明けていない暗い部屋で沙羅は目を覚ました。
起きるよう指定された時間には随分と早いが、これでいい。
しっかりと身支度を整えると、朝の自主練に向かった。
「おはようごさいます、師範。継子の有須です」
早朝、夜が明けると同時に起きてきた時透無一郎に自ら名のりをあげると、
「いちいち名乗らなくてもお館様に直々に紹介された君の存在ぐらいは覚えてるよ。馬鹿にしてるのかな」
無表情ながらさっそく棘のある言葉が返ってきた。
「それは失礼致しました。馬鹿にしたつもりはありませんのでお許し下さい。ただ、貴方は他人にとことん興味のないお方だと解釈しておりました故に私の事も覚えていないだろうと思いましたから」
「別に……いいよ」
「朝食はどうされますか」
「いらない」
「ダメです」
「ゆっくり摂ってる時間がないんだ」
「そう仰ると思ってこれをご用意しました」
そう言って沙羅はまだほんのりと温かい包みを半ば強引に時透無一郎へ押し付けた。
「時間は出来るものではなく、作るものです。時間を制する者が目的をも制するんです。鬼殺の剣士ならばしっかりと身体を作る為にも朝食はきちんと召し上がって下さいね」
にっこりと笑顔のおまけ付きで。THE・お節介の自覚はあるが、別に好かれたい訳ではないので好きにやらせて貰う。
そう、沙羅は庇護的な意味でこのキャラが好きなのだ。
時透無一郎はといば、此方のお節介をどう思っているのかは分からない(だって始終無表情だし)が、一応包みは受け取ってくれた。
「いってらっしゃいませ」
こんな早朝から柱合会議に出掛けていく時透無一郎に敬意を込めて、沙羅は深々と頭を下げて送り出した。