第六話 誕生日
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ゆったりとした黒い隊服の背中で長い黒髪がさらりと揺れた。
それは陽射しを弾いて毛先に掛けて淡い碧色に透けていてーーその美しさに、沙羅は思わず
端正な顔が此方を向いた。
「放っておきなよ。巻き込まれたいの?」
相変わらずのぼんやりとした瞳で、抑揚のない静かな声で冷静に問われて沙羅も漸くハッとした。
確かに。危うく鳥のどつき合いに巻き込まれて、大惨事になる所だった。
「何処に行ってたの?」
「申し訳ありません。遅れたぶんの鍛練は、時間をずらしてきっちりとやります」
「答えになってないよ」
「それについては黙秘します」
「…………。まぁ、いいけど」
無一郎は一つ溜息をついて、
「本当に君は、片時もじっとしてないな」
呆れたような瞳を此方へ向けた。
「それは、どうも」
「褒めてないんだけど」
「分かっています」
あくまでポーカーフェイスと飄々とした態度を貫く沙羅に、無一郎は呆れたようにもう一度軽く溜息をついた。
「たまには大人しく僕の傍にいなよ」
存外分かりやすく押してくるなこの人……。
どうしても頬に集まる熱をちょっぴり忌々しく思いながら、沙羅は目線を逸したい衝動を堪えつつ、
「師範……。恋はもっと忍ぶものです」
と、言うと。
「そうかもね」
囁くようにそう言って、無一郎は笑った。