第六話 誕生日
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音柱邸にて音柱に謁見を願い出ると、意外にもすんなりと通った。
気を張っていただけに沙羅は内心で拍子抜けながらも、当初からの目的を果たすことにした。
「時透の欲しがりそうなものだぁ?」
「はい。何か心当たりはありませんか?」
「そんなもん、ド派手に本人に訊けばいいじゃねぇか」
「訊きました。参考にならなかったのでこうして師範をよく知る方々に訊いて回っているんです」
「時透の欲しがりそうなもの、ねぇ」
「はい。何か心当たりはありませんか?」
「そうだな。物じゃねぇがーー」
「物品で」
続いて炎柱邸にて尋ねてみる。
「時透の欲しがりそうなものか!」
「はい。何か心当たりはありませんか?」
「うむ!物ではないがーー」
「物品で」
続いて恋柱邸。
「無一郎君の欲しがりそうなもの?」
「はい。何か心当たりはありませんか?」
「お誕生日のプレゼントね!素敵だわ!そうね……物じゃないけれどーー」
「物品で」
と、このように回るところ回るところ、まるでお決まりの前置きのように同じやり取りを繰り返して悟った事がある。
想いがーー知れ渡っている!?
師範本人が言いふらして回った訳でもあるまいに、一体なぜ……。
皆が一様に口を揃える“物じゃないけど”のその先が非常に気になる所だが、怖くて訊けない(だって全員こっちをガン見だし)。
物で、と主張したところ、やはり皆が“君が心を込めて贈ったものなら、何でも喜ぶ”との事で。
いや、そんな……。
五歳児の母の日のプゼントじゃないんだから。
結果、かえって頭を抱える羽目になってしまった沙羅である。
「困ッテルヨウダナ」
肩に一羽の鴉がとまった。沙羅の鎹鴉の
非常に長いこの名前は、沙羅が生前に好きだった某弾幕シューティングゲームの推しの名前をそのまま付けたものだ。
「吾輩ガ、知恵ヲ貸シテヤロウ」
「吾輩?え?優曇華……あなた雄だったの?」
沙羅は少々面食らった。
鎹鴉は基本的に男性には雄が、女性には雌の鴉がつくと聞いていたからだ(無一郎は例外)。
「雌デアル」
「そう……」
“吾輩”って確か“余”とか“俺様”とか尊大を込めていうーー
・・
男性の一人称だったはず。
いわゆるボクっ娘やオレっ娘の俺様バージョンて事か。
どっ……独特なキャラだな……っ。