第四話 慚愧
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考えが甘かったのだ。
なずなの事も、菫の事も、そして無一郎のこの負傷も。
全ては自らの甘さが招いた事だ。
悔しくて悲しくて、涙が止まらなかった。
「申し訳ありません……私のせいで、余計な怪我を負わせてしまって……申し訳……」
「そういうの、いらない」
「………え?」
「謝罪なら、いらないから」
無一郎は窓の方へと目を向けて。
「僕もあの村にいて君の言っていた事の意味が、少しだけ……分かった気がするんだ。だけど謝る気はない。だから君も謝るな」
「…………」
「僕たち鬼殺隊は後ろを振り返ってる時間はないんだ。ひたすら……前を向いて進むしかない。君も鬼殺隊の一員なら」
不意に淡い碧色の瞳が真っ直ぐに此方を捉えた。
沙羅は思わず息を呑む。
「覚悟を決めなよ」
その瞬間、沙羅は自らの甘さを痛感した。
情けない。犠牲がなければ、覚悟すら出来なかったなんて。
ぐしっと袖で乱雑に涙を拭う。
「はい」
決意という名の強い眼差しがそこにはあった。
その時一瞬だけ、無一郎がふっと安心したかのように、微かに微笑んだような気がした。
その晩付きっきりで看病していると、無一郎が何か言ったような気がした。
「師範……?傷が痛むんですか?」
顔を寄せて覗き込むと、酷く虚ろな碧色の瞳が、此方を捉える。
「……沙羅……」
不意に二の腕を掴まれて、あっと思った時には既に引っ張り寄せられていた。
抵抗する間もなく端正な顔が間近に迫り、唇と唇が触れ合う。
滑らかな白い肌の質感や、伏せた長い睫毛が薄っすらと影を落とす様が、至近距離からありありと視界に映る。
あまりにも予想外の事態に、沙羅は抵抗はおろか、瞬きすら忘れてただ目を見開いて固まっていた。