第十話 遊郭
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斬った。ここからだ。沙羅は気を引き締め、警戒を上げた。
「おい。戦いはまだ終わってねぇぞ。妹をどうにかしろ」
安堵していたであろう炭治郎へ宇髄が詰め寄る。
激しく暴れる禰󠄀豆子を必死に取り押さえる炭治郎へ、宇髄が助言する。
「ぐずりだすような馬鹿ガキは戦いの場にいらねぇ。地味に子守り唄でも歌ってやれや」
その瞬間だった。禰󠄀豆子の蹴り足が強く床を踏み込み、炭治郎もろともに窓を突き破って二人を外へ弾き出した。
その様子を見守ってから、沙羅は注意を堕姫へと戻す。
「ちょっと待ちなさいよ、どこ行く気!?」
太刀を担いで立ち去ろうとする宇髄を、すかさず堕姫が呼び止める。
「よくもアタシの頸を斬ったわね!ただじゃおかないから!!」
喚く堕姫を宇髄は呆れた様子で振り返り、一つ溜息をつく。
「まぁだギャアギャア言ってんのか。もうお前に用はねぇよ。地味に死にな」
ここから暫く言い合いが続く事を知っている沙羅は、逃げ遅れた人々にこの場を去るよう促す。
「ふざけんじゃないよ!!だいたいアンタさっきアタシが上弦じゃないとか言ったわね!!」
「だってお前上弦じゃねぇじゃん」
「アタシは上弦の
「だったら何で頸斬られてんだよ弱すぎだろ。脳味噌爆発してんのか」
「アタシまだ負けてないからね!!上弦なんだから!!」
「負けてるだろ。一目瞭然に」
激昂する堕姫へ宇髄は飄々と返す。
「アタシ本当に強いのよ!!今はまだ陸だけどこれからもっと強くなって⋯」
必死に言い募る堕姫。
「説得力ねー」
興味なさげに飄々と宇髄。すると堕姫の瞳にみるみる涙が溜まり、やがて溢れてぼろぼろと零れ落ちた。
次の瞬間、堕姫はまるで幼子のように泣きだした。
宇髄がぎょっとした様子でたじろぐ。
「ほんとにアタシ上弦の陸だもん本当だもん!数字だって貰ったんだから!アタシ凄いんだから!!」
わぁわぁと泣き喚く姿はまるで幼子そのもので、宇髄はドン引きした様子でそれを眺めていた。
しかしそれ以上に、いつまでも身体の崩壊が始まらない堕姫へ違和感を感じ始めているようだった。
「死ねっ!!死ねっ!!みんな死ねっ!!」
堕姫は自らの頭部が膝から転げ落ちるのも構わず、その場で暴れ始める。
わぁわぁと泣き喚きながら激しく床を叩く。
「頸斬られたぁ頸斬られちゃったああ」
ーー来る。
沙羅は眉を顰めて身構えた。
「お兄ちゃああん!!」
刹那、堕姫の影が蠢く。
堕姫の背中から、痩躯の男が這い出して来る。
異様な気配を感じ取った宇髄がすかさず攻撃態勢に入り、沙羅もまた体勢を低くして居合いの一閃を振り出した。
だが、それらは激しく虚空を斬り裂くだけに終わった。
「泣いてたってしょうがねぇからなあ。頸くらい自分でくっつけろよなぁ。おめぇは本当に頭が足りねぇなぁ」
此方の存在をまるで無視して男ーー妓夫太郎は、泣きじゃくる堕姫を宥めている。
それは圧倒的な強さからくる自信の現れか。厄介なのはそれが完全に否定はできないということ。
「顔は火傷か。これなぁぁ。大事にしろ顔はなあ」
妓夫太郎が親指でなぞると、堕姫の火傷は忽ち癒えていく。
「せっかく可愛い顔に生まれたんだからなあ」
宇髄が再び攻撃態勢に入る。仄暗い双眸が此方をゆったりと捉えた。