第四話 慚愧
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「……あとは貴女の仰った通りです」
「菫ちゃん……」
項垂れる菫の身体をそっと抱き締める。
「貴女は何も悪くない……。悪くないから」
悪くない……筈はない。それは互いに分かっていた。だが、そう言わずにはいられなかった。
小刻みに震える痩せ細った小さな身体を、守るように力強く抱き締める腕にぎゅっと力を込めて。
ただ「貴女は悪くない」と言い聞かせるように繰り返した。
「菫ちゃん……。お願い。もう一度機会が欲しいの。貴女は……貴女だけは私に守らせて欲しいの」
「……に……るの」
「え?」
「その事に何の意味があるの!!」
ドンッと思いきり突き飛ばされる。
「そんな事されたって、なずなはもう帰って来ない……!わたしにはあの子しかいないのに……っ、あの子だけだったのに!」
「菫ちゃん……」
「触らないで!貴女なんて大嫌いよ!」
バキバキ……歪な音を立てて、菫の骨格が変化をきたす。
小さかった手足は、骨張って爪の発達した異形のものに。
口は耳元まで裂け、赤く充血した歯茎は鋭い牙で埋め尽くされていく。
白目のない黒光りする瞳がぎょろりと此方を向いて、鋭い爪の一閃が沙羅へと襲いかかる。
ギィィンー……!菫の変貌にショックを受けて、半ば茫然としていた沙羅だったが、辛うじて刀で受け止めた。
「もう何かも遅いのよ!私は後戻りなんて出来ない!村人全員道連れにしてやる!皆殺しよ!」
「菫ちゃん!待って……!」
飛び出していく異形と化した菫の後を追うとするも、ぐらりと目眩を起こす。
さっき一口呑んだお茶の睡眠薬が……。
こんな少量で効くなんて……。
沙羅はくっと歯を食いしばり、懐剣に手を伸ばすと、自らの太腿を何の躊躇いもなく斬りつけた。