第十話 遊郭
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遠くで凄まじい轟音が聞こえた。
「喧しいわね、塵虫が。何の音よ、何してるの?どこ?荻本屋の方ね。それに雛鶴⋯」
苛立ちも露わに吐き捨てて、何かを探っているかのように一人でぶつぶつと呟いている。
「アンタたち何人で来たの?四人?」
鬼の顔が此方を向いて、高圧的に問い詰めてくる。
「言わない」
刀を構えたまま答える炭治郎。
「正直に言ったら
炭治郎はハッとして、自らの刀を確認する。
「それを打ったのは碌な刀鍛冶じゃないでしょう」
鬼の声は嘲笑を含んでいた。
「違う!この刀を打った人は凄い人だ!!腕のいい刀鍛冶なんだ!!」
強い憤りを覚えて反論するが、
「じゃあ何で刃毀れすんだよ間抜け」
吐き捨てるような口調で叩き落される。そうこしているうちに遠くで再び爆音がした。
「あっちでもこっちでもガタガタし始めた。癪に障るから次でお前を殺す」
全身に突き刺さるような鋭い殺気が放たれるなか、炭治郎は冷静に思考を巡らせた。
刀が刃毀れするのは使い手の問題であること。自身が水の呼吸を使いこなせていないこと。
水の呼吸に適した身体ではないのだ。
水の呼吸では鱗滝や冨岡のようにはなれない。
炭治郎の場合、一撃の威力はヒノカミ神楽のほうが強い。身体に合っているのだ。
しかしその強力さ故に連発ができなかった。
今は違う。やれるはずだ。否、やるんだ。
ギシッと音が鳴るほど刀の柄を握り締める。
迫りくる異能の帯を見据え、自らの心に叱咤する。
燃やせ、心を燃やせ。
煉獄の教えを胸に、刃を振るう。
ーーヒノカミ神楽 “烈日紅鏡”ーー
鋭い斬撃に、無数の帯が悉く断ち切られた。
その攻撃速度や攻撃範囲、太刀筋の変化を鬼は敏感に感じ取る。
炭治郎はすかさず間合いを詰める。
「何なの、この音。嫌な音ね。呼吸音?」
不快感も露わに鬼が呟くが、構わず次の一手を繰り出す。
ーー“炎舞”ーー
斬撃は紙一重で躱された。しかし炎舞は二連撃だ。もう一撃をと果敢に挑む。
鬼は冷めた目でそれを眺める。たいしたことないわね。所詮この程度よ。鬼は完全に炭治郎を侮っていた。
次の瞬間、鬼の帯が炭治郎の頸を捉えたーーか、に見えた。
だが炭治郎の姿はそこから消えていた。
どこにーー。
ーーヒノカミ神楽 “幻日虹”ーー
高速の捻りと回転による躱し特化の舞。視覚の優れた者ほどよりくっきりとその残像を捉えてしまうのだ。
その時炭治郎の身体は既に虚空にあった。
赫い瞳が鮮明に隙の糸を捉える。
ーーヒノカミ神楽 “火車”ーー!!!
猛炎を纏ったような斬撃が、鬼の頸を目掛けて振り下ろされた。
「遅いわね。欠伸が出るわ」
鬼が冷ややかに此方を睥睨した、次の瞬間。
ぶつりと音を立て隙の糸が切れて、炭治郎は鬼の帯に弾き飛ばされた。