第四話 慚愧
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翌日、有須 沙羅が姿を消した。
行き先は大方の予想はついているが……。
無一郎は身体の横でギリッと拳を強く握り締めた。
彼女を破門した覚えは一切ない。それなのにーー
…………連れ戻す。
半ば伏せられた瞳。長い睫毛が淡い碧色の瞳に仄暗い陰を落としていた。
沙羅が再び村を訪れると、村の様子が一変していた。
訊けばこの村で、殺人事件が起きたのだという。
被害者は齢三十前後の男。凶器は刀で死亡推定時刻は午前七時から八時にかけて。
遺体は此処、河川敷で発見されたらしいが、失血の具合から見ても殺された後で移動させられた事は明白で。
犯人として名が上がったのは、この村で唯一刀を所持していた村長の一家で、死亡推定時刻にアリバイの無かった息子だった。
彼は事情聴取として警察に連行され、今も厳しい取り調べを受けている。
幸福の仮面が剥がれた村人達は皆、疑心暗鬼に陥り剥き出しの敵意と不信感で互いを拒絶しあっている。
殺人犯を恐れ
遺体を覆っていた
何がおかしいのか一瞬分からず、入念に観察してその正体を確信する。
辛そうに眉を寄せ、沙羅は揺れる瞳をそっと伏せる。
真犯人は分かった……。後は現場だけ……。
ーーー沙羅お姉ちゃん。
背後で聞き覚えのある温かい声がした。